用(漢字)

普及版 字通 「用(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] ヨウ
[字訓] もちいる・はたらき・そなえ・もって

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
木を組んで作った柵の形。〔説文〕三下に「施行すべきなり。卜に從ひ、中に從ふ」という。字を卜と中とに分解し、卜して中(あた)るとき、それは施すべきものであるとするが、卜文・金文字形は木を編んだ木柵の形。中に犠牲をおくので、犠牲とすることを「用ふ」という。〔春秋経、僖十九年〕「人(ちゆひと)、子(そうし)を執へて之れを用ふ」とは、その鼻を撲(う)って血を取り、牲血として用いる意で、古い用義法である。卜辞の占兆の辞に「(こ)れを用ひよ」とあるのも、古くは用牲の意であろうが、のち施行の意となったものと思われる。金文の〔曾姫無壺(そうきぶじゆつこ)〕に「後嗣之れを甬(もち)ひよ」、また〔左伝、隠元年〕「庸(もち)ふること無(なか)れ」のように甬(よう)・庸を用い、みな通用の義。木柵の用に、上から土を塗りこんだものが庸、用にもつ所をつけたのが甬で桶の初文である。

[訓義]
1. かき、犠牲を入れ、犠牲として用いる。
2. もちいる、つかう、ほどこす。
3. おこなう、はたらき。
4. そなえ、用意、ついえ。
5. たから、道具、役立つもの。
6. 以と通じ、もって、なす、よる。

[古辞書の訓]
名義抄〕用 モチヰル・モチフ・モツ・モテ・ココヲモテ・ツカフ/用心 ココロモチヒ

[部首]
〔説文〕に甫・庸・の四字を属し、〔玉〕になお由をこの部に加える。由は〔説文〕にみえず、おそらく(ゆう)と同字異文とみられるもので、用とは関係がない。また(ねい)は寧の異体字。(ふく)は(えびら)の象形、甫(ほ)は苗木の根を囲う形で、周囲に木柵を加える形。庸は用の形声の字での初文。本来の部属の字は庸の一字のみである。

[声系]
〔説文〕に用声として甬、また甬声・庸声の字を多く収める。金文に甬を用の義に用い、庸にも用の訓がある。以・用・庸は声義近く、通用することがある。

[語系]
用・庸jiongは同声。〔説文〕三下に「庸は用ふるなり」とあって同訓。以jiは声近く、通用の字である。

[熟語]
用意・用間・用諫・用奇・用器・用具・用刑・用賢・用工・用功・用事・用捨・用舎・用処・用心・用途・用度・用飯・用板・用費・用筆・用武・用物・用兵用務・用命・用力用例
[下接語]
愛用・悪用・引用・運用・応用・活用・官用・慣用・起用・器用・逆用・虐用・挙用・共用・軍用・兼用・雇用・誤用公用・功用・効用・国用・混用・作用・採用・財用・雑用・算用・私用・使用・施用・資用・試用・自用・時用・実用・借用・主用・受用・収用・重用・遵用・所用・商用・常用・食用・信用・世用・節用・専用・選用・善用・俗用・体用・致用・着用・長用・徴用・聴用・用・通用・適用・用・転用・土用盗用・登用・動用・日用・入用・任用・佩用・繁用・費用・備用・不用・服用・並用・併用・聘用・宝用・妙用・無用・薬用・有用・要用・乱用・濫用・利用・流用・両用・連用・路用

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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