産直(読み)さんちょく

精選版 日本国語大辞典 「産直」の意味・読み・例文・類語

さん‐ちょく【産直】

〘名〙 (「産地直結」「産地直売」「産地直送」の略) 野菜魚類などの生鮮食料品を、卸売市場を通さず、産地から直接、消費者に小売りすること。第二次大戦後、新しい流通方式として普及。〔現代用語の基礎知識(1974)〕

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デジタル大辞泉 「産直」の意味・読み・例文・類語

さん‐ちょく【産直】

《「産地直結」「産地直送」「産地直売」の略》生鮮食料品や特産品などを卸売市場など通常流通経路を通さずに生産者から消費者へ直接供給すること。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「産直」の意味・わかりやすい解説

産直
さんちょく

産地直結取引、産地直売、産地直送の略語で、生鮮食料品流通の卸売市場外流通のうち、基本的には産地の生産者・農業協同組合など生産者団体と消費地の消費者・生活協同組合など消費者団体とが直結して取引を行うものであるが、1990年代に入ってからは個々の生産者と消費者との直売所利用、宅配便利用による直結も発展してきた。産直の発展の第一段階は1960年代前半の林周二(1926―2021)著『流通革命』に符節をあわせた、中間を抜いて流通経路を短くすれば経費を節約できるとした段階で、第二段階は1960年代後半から1970年代初めにかけての食品への有害添加物、過剰農薬投下による農産物汚染などの食品公害反対運動の段階であり、第三段階は1973年(昭和48)のオイル・ショックに端を発した「狂乱物価」以降で、市場流通品の過度に選別された規格、過剰包装、転送・遠隔地間輸送による鮮度減退を産直により解消しようとした段階である。第四段階は1980年代以降で、産直が経済的に引きあう流通経路として社会的認知を受け、専門流通企業体の参入をみた段階である。

 産直の理念は、生産者と消費者の日常的な連帯強化、自然の摂理に根ざした地域複合経営の組織化、地域内流通の推進、消費者の食生活の反省など多岐にわたっており、単に流通の中間マージンを節約するといったものではない。

 日本においては、生産の側も消費の側も零細で分散しているために、両者を結ぶ流通機構が複雑になり、安易な直結はかえって新たな流通コストの発生を生んできたが、物流の合理化、情報化の進展により、直結流通の有利性が高まっている。

[岡部 守]

『岡部守著『産直と農協』(1978・日本経済評論社)』『秋谷重男著『産地直結』(1978・日本経済新聞社)』『野見山敏雄著『産直商品の使用価値と流通機構』(1997・日本経済評論社)』『岡部守編著『農村女性による起業と法人化』(2000・筑波書房)』

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百科事典マイペディア 「産直」の意味・わかりやすい解説

産直【さんちょく】

産地直送

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「産直」の意味・わかりやすい解説

産直
さんちょく

産地直結」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の産直の言及

【産地直結】より

…産地直結(略して産直ということが多い)の概念や定義は必ずしも統一されていない。(1)卸売市場を経由せず,また〈せり〉取引を原則としない流通方式,あるいは(2)商人資本の手を経由しない流通形態,などの定義もあるが,これだけでは物的流通の形態面に重きをおきすぎた定義のきらいがある。…

※「産直」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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