生物地理区(読み)せいぶつちりく(英語表記)biogeographic region

改訂新版 世界大百科事典 「生物地理区」の意味・わかりやすい解説

生物地理区 (せいぶつちりく)
biogeographic region

各地の生物相の特徴を基にした地理的区分。動物,植物,さらにその分類群によって多少異なり,一般に動物の場合は動物地理区,植物の場合は植物区系と呼ばれる。古典的には分類学に基づき分類地理学的な区分がなされたが,近年では生態学的要素も考慮されるようになってきた。生物の分布が,地理的(場所的)であるとともに生態的(環境的)であるからである。なお,海洋についても,海洋生物海流,水温帯などから,生物学的海区区分がなされる。生物地理区分は,現在の生物相の地理的分布に基づき行われるが,それは,過去の気候陸地変動を通じて変遷してきたものであるから,地史的生態環境や化石,古生物学も考慮しなければならず,さらに,生物相を構成する各動物の種の分類,進化,分布的系統を総合して,生物地理区の範囲や境界を決定する資料としなければならない。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android