生月島(読み)イキツキシマ

デジタル大辞泉 「生月島」の意味・読み・例文・類語

いきつき‐しま【生月島】

長崎県北西部、平戸ひらど島北西にある南北に細長い島。平戸市に属する。面積16.6平方キロメートル、最高点は番岳ばんだけの286メートル。平成3年(1991)、生月大橋平戸島と結ばれた。西岸は海食による断崖が多く、玄武岩柱状節理が見られる。特に塩俵の断崖は有名。東岸は緩やかな斜面で湧水があり、それに沿って集落・溜池がある。棚田があり、牧牛も盛ん。近海は好漁場。西海岸一帯は西海さいかい国立公園の一部。

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日本歴史地名大系 「生月島」の解説

生月島
いきつきしま

中世にみえる島名。古代の生属いきつき島を継承するもので、生月のほか、一岐津崎・息尽などとも記される。戦国期は籠手田氏をはじめキリシタンの島としても知られる。

〔中世の領主〕

正応六年(一二九三)三月一七日の九条家文庫文書目録(九条家文書)に「一合 彼杵并日根庄」などと並んで「一合 小豆島 生島」と記される生島は当地の可能性がある。文保二年(一三一八)一二月一六日の鎮西下知状案(実相院文書)によれば、「生月島領主加藤五郎」が肥前国一国平均役の河上かわかみ(現佐賀県大和町)造営用途を弁済しなかったとして鎮西探題が催促している。永徳四年(一三八四)に「いきつきのかとう常陸介」「いきつきのかとう伊勢守」らが下松浦の一揆に加わっており(同年二月二三日「下松浦住人等一揆契諾状」山代文書)、当地を拠点とする加藤氏であろう。両氏は「いきつき常陸守景世」「いきつき伊勢守」ともあり(同日「下松浦住人等一揆契諾状案」青方文書)、ほかに「いきつきの一ふん大和守」「いちふ大和守授」の署名もみえる。嘉慶二年(一三八八)「生月山田」の彦犬丸代兵庫允義本が一揆に加わっている(同年六月一日「下松浦住人等一揆契諾状案」同文書)

永享六年(一四三四)生月の加藤景明は宇久某と通じて平戸松浦芳を襲撃、これに生月の山田氏・一部氏らが連合して白狐山びやつこざん(現平戸市)を包囲したという(「深江記」「松浦家世伝」など)。「大曲記」には「宇久殿、 津吉殿、下方殿、生月三人衆引組、平戸へ弓取かけたる事」と記され、この三人衆にあたるのであろう。同八年一二月二九日の松浦一揆契諾状(来島文書)には「一部理」のほか「加藤景明」「加藤景貞」が署名しており、加藤氏が景を通字としていたこと、一部氏が一字名を用いていることがわかる。このように生月には加藤氏(生月氏)と、一部氏・山田氏が拠点をもっており、加藤氏のさと館、一部氏の一部氏館、山田氏の望州ぼうしゆう館・山田氏館などの居館が推定されている。なお応永二九年(一四二二)八月、地内の里免上川かみがわ永光えいこう寺に伊勢守沙弥玄慧(加藤伊勢守の係流か)が鐘を寄進しており、銘には「松浦郡生月島竹鞭山永光禅寺」と記されている。「海東諸国紀」によれば、文明三年(一四七一)に下松浦の「一岐津崎」の太守源義が朝鮮王朝観音菩薩が姿を現したことを賀す使者を派遣しており、また麾下の兵をもつと記される。天文八年(一五三九)大内氏の遣明船が「息尽」を経て七月三日筑前博多に到着しており(策彦入明記)、明への渡海船が寄港する地であった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「生月島」の意味・わかりやすい解説

生月島
いきつきしま

長崎県北部、平戸島(ひらどしま)の北方に浮かぶ島。平戸市に属する。2005年(平成17)までは北松浦(きたまつうら)郡生月町をなしていた。辰ノ瀬戸(たつのせと)を隔てて平戸島に相対しているが、1991年(平成3)両島はそこに架橋された生月大橋で結ばれた。面積16.55平方キロメートル。島の基盤は第三紀層で、その上にアスピーテ状火山が噴出し、地すべりの繰り返しによって、火山体は北側の番岳(ばんだけ)(286メートル)と南側の山頭(やまがしら)(258メートル)とに二分されている。西岸は急崖(きゅうがい)をなし、玄武岩の柱状節理が多くみられる。東岸は緩傾斜で、第三紀層と玄武岩の境界には湧水(ゆうすい)があり、この湧水に沿って集落、溜池(ためいけ)があり、それ以下が水田に開かれているが、いまも地すべりの多発地帯をなしている。人口7934(2000)。

[石井泰義]


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改訂新版 世界大百科事典 「生月島」の意味・わかりやすい解説

生月島 (いきつきしま)

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