甚(漢字)

普及版 字通 「甚(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] ジン
[字訓] おきかまど・はげしい・はなはだ

[説文解字]
[金文]
[その他]

[字形] 象形
竈(かまど)の上に烹炊の器をかけている形で、烹(ほうじん)の意。〔説文五上に「尤も安樂するなり。甘匹に從ふ。匹はなり」と甘匹の会意とし、男女相(たの)しむ意とする。の意を以て解するが、古文字形は竈に鍋をかけた形。斗を以てこれをくむを斟酌(しんしやく)という。〔左伝〕にみえる裨(ひじん)は、裨竈(ひそう)と同一人であるらしく、甚・竈対待の名字をもつ人であろう。煮すぎることを過甚という。

[訓義]
1. かまど、おきかまど、行竈、火炉。
2. はげしい、過甚。
3. はなはだ、とりわけ、もっとも。
4. 近世語で、なに、いずれ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕甚 ハナハダシ・イカラシ・ヲシフ・ナヲシ 〔字鏡集〕甚 ハナハダ・ハナハダシ・ヲシフ・ナヲシ・イカラシ・タダシ

[声系]
〔説文〕に甚声として斟・・湛・など十四字を収める。斟・は烹炊のことや竈に関する字、は過甚の意であろう。は〔説文〕十上に「(おきかまど)なり」とし、とは行竈・火炉の意であるから、はおきかまど。甚がその初文である。

[語系]
甚zjim、斟tjimは声義近く、甚中のものを斗を以てくむことを斟(しん)という。thmはかまどのすすけた色をいう字であろう。〔説文〕十上に「桑(さうじん)のなり」とあるのは、転用の義とみられる。湛・(たん)は耽と同声。別の系列をなす語である。

[熟語]
甚雨甚急甚緊甚至甚事甚日甚深甚親甚酔甚都
[下接語]
已甚・劇甚・激甚・幸甚・深甚・甚・太甚

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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