甘心(読み)かんしん

精選版 日本国語大辞典 「甘心」の意味・読み・例文・類語

かん‐しん【甘心】

〘名〙 (「かんじん」とも)
① 快く思うこと。満足すること。よいと思ったことをいつまでも心にとめておくこと。感服すること。
菅家文草(900頃)一・長斎畢聊言懐寄諸才子答頻来「我今苦行最甘心、為生々殺盗婬」 〔詩経‐衛風・伯兮〕
② 同意すること。心で納得すること。ある程度で満足すること。
霊異記(810‐824)下「債(もののかひ)を人より渋り取りて、甘心を為さず」
色葉字類抄(1177‐81)「甘心 カムジム」
太平記(14C後)二四「将軍左兵衛督も此の儀尤(もっとも)とぞ被甘心(カンシンせられ)ける」
③ 思いのままにすること。思うぞんぶんにふるまうこと。〔布令必用新撰字引(1869)〕〔春秋左伝‐荘公九年〕
※妾の半生涯(1904)〈福田英子〉三「一遊妓の甘心(カンシン)を買ふ」

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デジタル大辞泉 「甘心」の意味・読み・例文・類語

かん‐しん【甘心】

[名](スル)《「かんじん」とも》
納得すること。同意すること。
「その価値あたいで―して、やってやる積に約束した」〈逍遥当世書生気質
快く思うこと。満足すること。感服すること。
先言せんげん耳にあり、いまもって―す」〈平家・三〉

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普及版 字通 「甘心」の読み・字形・画数・意味

【甘心】かんしん

満足する。魏・曹植〔雑詩六首、五〕閑居は我が志に非ず 甘心して國憂に赴かん

字通「甘」の項目を見る

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