琉球政府(読み)りゅうきゅうせいふ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「琉球政府」の意味・わかりやすい解説

琉球政府
りゅうきゅうせいふ

米軍統治下の沖縄住民側の自治機関。1952年(昭和27)4月1日、琉球列島米国民政府布告に基づき創立司法立法行政三権分立の形式を備えた自治機構であるが、最終的権限はあくまで米国民政府(民政副長官のち高等弁務官)が握っていた。立法院の議員以外は行政主席、上訴裁判所判事とも任命制であったが、沖縄住民の自治権拡大運動によって68年11月に主席公選が実現した。72年5月の日本復帰によって廃止、沖縄県に移行した。

[大城将保]

『照屋栄一編『沖縄行政機構変遷史料』(1982・自費出版)』

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百科事典マイペディア 「琉球政府」の意味・わかりやすい解説

琉球政府【りゅうきゅうせいふ】

沖縄住民の自治機関。米国民政府の下に1952年設立。1957年以降米国大統領任命の高等弁務官(現役陸軍将官)が民政府の長となり,琉球政府はその下に置かれた。行政府,立法院,高等裁判所の3機関で構成。行政府主席は初め立法院の選出により高等弁務官が罷免権をもっていたが,1968年公選に移行。立法院は一院制で,小選挙区を採用し議員定数32名。高等裁判所首席判事は行政府主席が任命する。1972年沖縄本土復帰とともに廃止,沖縄県庁にひきつぐ。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「琉球政府」の解説

琉球政府
りゅうきゅうせいふ

米国統治下の沖縄における住民側の政治機構。1952年(昭和27)4月1日設立,72年5月14日廃止。形式上は司法(上訴裁判所),立法(立法院),行政(行政主席)の三権分立制をとる自治機関であったが,その上部にある米国民政府の布告・布令などに従属し,米軍支配の代行機関という性格が強かった。行政主席は当初民政副長官(のち高等弁務官)の任命制であったが,住民の自治権拡大運動によって,1968年11月に主席公選が実現。

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世界大百科事典(旧版)内の琉球政府の言及

【沖縄[県]】より

…それは人頭税制に直接的に苦しめられていたからである。琉球政府の収入を一定ならしめるためとも,他の地への移住を禁止するためにともいわれている人頭税は宮古・八重山で典型的に見られ,反布で上納されていた。宮古の人頭税撤廃に立ち上がった農民を支援したのは,製糖指導員城間(ぐすくま)正安と新潟県人中村十作である。…

※「琉球政府」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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