琉球帰属問題(読み)りゅうきゅうきぞくもんだい

山川 日本史小辞典 改訂新版 「琉球帰属問題」の解説

琉球帰属問題
りゅうきゅうきぞくもんだい

明治前半期,琉球群島の帰属をめぐる日清間の外交・領土問題。1874年(明治7)の台湾出兵前後から廃琉置県以前までの第1段階では,日本側は琉球を日本専属と主張,清国側は清国専属の属国であると同時に自主国であると主張し,互いに譲らなかった。79年の廃琉置県から琉球分割条約の締結までの第2段階では,日本側は廃琉置県を内政問題と主張,清国側は一方的な廃琉置県に抗議したが,日清両属論を認めた。前米国大統領グラントの調停契機に,日清両国は80年宮古・八重山両諸島を清国領,その北方の諸島を日本領とする琉球分割条約案で妥結した。しかし琉球人の激しい抵抗や清国政府の調印拒否により廃案となる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「琉球帰属問題」の解説

琉球帰属問題
りゅうきゅうきぞくもんだい

明治初年におこった琉球帰属をめぐる日本・清国両国間の外交問題
江戸時代に琉球は清国・薩摩藩に両属していたが,明治政府は廃藩置県(1871)後,琉球を鹿児島県に編入。翌年琉球藩を置き国王を藩王とした。'74年台湾の高砂族の琉球島民殺害事件を口実に台湾出兵をおこし,琉球人を日本国民と主張,'79年沖縄県の設置を強行した(琉球処分)。清国はこれに抗議し,当時来日中のアメリカ前大統領グラントが調停をはかったが,未解決のまま,のち日清戦争により実質的に日本帰属が確定した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「琉球帰属問題」の意味・わかりやすい解説

琉球帰属問題
りゅうきゅうきぞくもんだい

琉球王国の帰属をめぐって明治政府と中国(清(しん)国)との間で争われた外交問題。琉球問題、琉球所属問題ともよばれる。

[編集部]

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