球麻痺(読み)きゅうまひ

百科事典マイペディア 「球麻痺」の意味・わかりやすい解説

球麻痺【きゅうまひ】

延髄の運動核の障害による麻痺のこと。球は延髄の慣用語で,舌,咽頭(いんとう),口蓋,喉頭(こうとう)などの筋の運動を支配する脳神経核があるため,延髄の損傷でしばしば咀嚼(そしゃく),嚥下(えんげ),さらに構音の障害をきたす。舌の著明萎縮(いしゅく)を伴う進行性球麻痺はその典型的な例であるが,延髄の出血とか,炎症による急性の球麻痺は致命的となることが多い。延髄より上部の両側性脳損傷でもよく似た症状を呈するが,舌の萎縮はなく,仮性球麻痺として区別する。

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世界大百科事典(旧版)内の球麻痺の言及

【運動麻痺】より

…これらの脳神経領域の随意運動も大脳皮質の上位運動ニューロンによって支配されているため,これが損傷を受けるとやはり脳神経領域の運動麻痺が生ずるが,そのような場合は核上性脳神経麻痺と呼ばれている。また三叉,顔面,迷走,舌下神経などの下部脳神経が広範囲にわたって侵され,発声,発語,嚥下,咀嚼,表情の麻痺をおこした状態は球麻痺bulbar palsyと呼ばれるが,これと同様の症状が上位運動ニューロンの損傷で生じたものは仮性球麻痺といわれる。
[体幹と体肢の麻痺]
 体幹・体肢の麻痺は,侵される筋肉の分布により,さらにいくつかに分類される。…

※「球麻痺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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