現象論(読み)げんしょうろん(英語表記)phenomenalism 英語

精選版 日本国語大辞典 「現象論」の意味・読み・例文・類語

げんしょう‐ろん ゲンシャウ‥【現象論】

〘名〙
哲学で、人間認識できるのは現象だけで、現象の背後にある本体は認識できないとする立場
② 現象こそが実在ほかならないと考える立場。現象主義
事物表面に現われた現象だけを根拠にして議論すること。また、その議論。

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デジタル大辞泉 「現象論」の意味・読み・例文・類語

げんしょう‐ろん〔ゲンシヤウ‐〕【現象論】


㋐我々が認識できるものは現象だけで、本体そのものは認識できないという説。
㋑我々の認識できる現象そのものが実在で、そのほかに本体は存在しないとする説。現象主義。
事物の表面的な現れだけをみて行う議論。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「現象論」の意味・わかりやすい解説

現象論
げんしょうろん
phenomenalism 英語
Phänomenalismus ドイツ語
phénoménalisme フランス語

現象主義ともいわれ、外的な世界の認識についての次のような考え方のこと。すなわち、たとえばある物体知覚する場合、われわれは存在する物体そのものを知覚しているのではなく、われわれに知覚されている限りのものを知覚しているにすぎず、しかもその際、その知覚を成立させている色や形などの感覚所与センス・データ)のみが、もっとも直接的で確実なものであるとする考え方。したがってこの立場を徹底するなら、物体は感覚所与の集まりということになり、外界の存在を前提とする通常の立場からは認められる外界についての知識も、けっして確実なものとはいえなくなる。つまり、常識で確信している外界の姿は仮象でしかなく、またたとえ外界が存在するとしても、われわれには不可知なものとしかいえなくなる。このような考え方は古典的にはヒュームに、20世紀ではカルナップらの論理実証主義の議論のうちにみいだすことができる。

[清水義夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「現象論」の意味・わかりやすい解説

現象論
げんしょうろん

現象主義」のページをご覧ください。

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