王敦(読み)おうとん(英語表記)Wáng Dūn

改訂新版 世界大百科事典 「王敦」の意味・わかりやすい解説

王敦 (おうとん)
Wáng Dūn
生没年:266-324

中国,武将,政治家。字は処仲。琅邪臨沂(ろうやりんぎ)(山東省)の人。妻は武帝の娘。西晋滅亡期に建康(南京)にいた琅邪王の司馬睿(しばえい)(元帝)を,従弟王導とともにもり立て,武昌を中心とする長江揚子江)中流域を平定して東晋王朝建設に尽力した。やがて元帝とその側近から強大な武力を警戒されたために中央と対立し,322年(永昌1)武昌から兵を進めて首都建康を制圧したが,暴政によって人心を失い,討伐を受ける中で病死した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王敦」の意味・わかりやすい解説

王敦
おうとん
Wang Dun; Wang Tun

[生]泰始2(266)
[没]太寧2(324)
中国,東晋 (→) の武将。琅邪 (ろうや。山東省) の人。字は処仲。王導従兄弟。武将として有名であったが,東晋の元帝 (→司馬睿 ) が即位前江東経営に努力している頃から元帝を助けた。彼は東晋朝で広大な支配地をもつ地方長官かつ武将であり (江州牧) ,その権勢は元帝をしのぐほどであった。そのため元帝やその側近と不和となり,ついに元帝の側近を誅することを名目として兵をあげ (322) ,いったん成功した。しかし,みずから天子になるという野望を達成できないまま明帝のとき死亡した。

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