王実甫(読み)おうじっぽ

精選版 日本国語大辞典 「王実甫」の意味・読み・例文・類語

おう‐じっぽ ワウ‥【王実甫】

中国、元代の劇作家。名は徳信。実甫は字(あざな)大都北京)の人。「西廂記(せいそうき)」の作者として有名。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「王実甫」の意味・わかりやすい解説

王実甫
おうじっぽ

生没年不詳。中国、元(げん)代の戯曲作家。名は徳信(とくしん)。詳しい経歴はわからないが、13世紀後半、元雑劇(げんざつげき)が初め北方で隆盛を迎えた時期に、関漢卿(かんかんけい)、馬致遠(ばちえん)らと並んで大都(だいと)(北京(ペキン))で活躍した。十数種の作品が知られるが、なによりもまず「天下第一」の評をかちえた名作『西廂記(せいそうき)』の作者として声名が高く、元曲(げんきょく)の代表作家の一人にあげられる。口語雅言をほどよく交えた風韻豊かな曲詞は「花間の美人」に例えられ、『西廂記』中の佳句は人々の好んで口ずさむところとなっている。

[傳田 章]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王実甫」の意味・わかりやすい解説

王実甫
おうじっぽ
Wang Shi-fu

中国,元の劇作家。大都 (北京) の人。本名,徳信。通常,字の実甫で呼ばれる。伝記はほとんど不明だが,13世紀から 14世紀にかけて劇作家として活躍し,特に唐の伝奇小説,元じんの『鶯鶯伝』を題材とする北曲屈指の名作『西廂記 (せいそうき) 』の作者として知られる。ほかに『麗春堂』など約 14種の作品が確認されている。

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世界大百科事典(旧版)内の王実甫の言及

【西廂記】より

…中国,元代の戯曲。作者は王実甫。元の雑劇としては破格の,5編分より成る長編作,21幕(折)。…

【中国文学】より

…中国の演劇はもともと喜劇から出発したものらしいが,元曲には悲劇として終結するものはまったくない。戯曲作家として傑出したのは関漢卿(かんかんけい)と王実甫の2人で,ともに14世紀初めに死んだ。関漢卿は多数の作品を公にし,舞台の経験のあった人と思われ,王実甫の名は《西廂記(せいしようき)》によって不朽である。…

※「王実甫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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