王安石の新法(読み)おうあんせきのしんぽう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王安石の新法」の意味・わかりやすい解説

王安石の新法
おうあんせきのしんぽう

中国,宋の第6代神宗皇帝 (在位 1067~85) のとき,王安石が行なった革新的な諸政策。均輸法は年間の政府必要物資の種類と量とを揚州の発運司に通知し,多量に産する地方で調達させ,人民には産しない物を要求せず,多く産する物を代納させ,これが不要のときは必要とする地方に運んで売却するもので,商人中間搾取を排し,政府の消費経済を合理化しようとしたもの。青苗法は植付け前に種籾などの欠乏する農民低利で融資し,収穫時に元利を返済させる法で,地主圧迫から農民を救済しようとしたもの。市易法は商人に対する低利融資法。方田均税法は,田の東西南北各 1000歩 (方田) を基準として検地を行い,租税額を公平にする法。募役法 (役法) は職役の負担方法の改革。保甲法は,10家を1保,5保を大保,10大保を都保とし,保長,大保長,都保正をおき,警察のことを司らせ,毎年農閑期に武事を教習させる法。保馬法は保甲の希望者に馬を養わせる法で,代償として賦役を免じた。このほか倉法,手実法,三舎法などがある。

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旺文社世界史事典 三訂版 「王安石の新法」の解説

王安石の新法
おうあんせきのしんぽう

北宋の神宗のときの富国強兵の諸政策
北宋は膨大な官僚組織の維持費や遼 (りよう) ・西夏 (せいか) に対する国防費増大などで財政難をきたすいっぽう,官僚の大土地所有と農民の貧窮化が進んだ。神宗に抜てきされた王安石は,1069年から均輸法・青苗 (せいびよう) 法・市易法・募役法・方田均税法などの富国策,保甲法・保馬法などの強兵策を断行した。これは有効な政策で,1076年の彼の辞任後も続けられたが,保守的な司馬光らの官僚群(旧法党)や地主・政商などの猛反対と,実施上の不徹底もあり,神宗が死ぬと廃された。のち哲宗の時代に復活し,党争のたねとなった。

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世界大百科事典(旧版)内の王安石の新法の言及

【王安石】より

…彼と息子の王雱(おうほ)との共著《周礼新義》は改革のよりどころとして有名。王安石の新法は当時の社会を根底からゆるがす要素を含んでいたため〈名教の罪人(体制破壊者)〉として,南宋から清朝まで非難の対象となった。王安石個人もすね者と性格づけられ,芝居や物語でおとしめられたが,19世紀末から評価は一転し,現在では先覚者として高く評価される。…

【宋】より

…このような危局に即位した神宗は,王安石を抜擢(ばつてき)して,大規模な改革を行わせた。これを王安石の新法とよぶ。改革の第一の目的は,破綻した国家財政を立て直すことにあったが,従来のような重税と節減といった単純な施策では,もはや解決できない状態になっていた。…

※「王安石の新法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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