玉祖神社(読み)たまのおやじんじゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「玉祖神社」の意味・わかりやすい解説

玉祖神社
たまのおやじんじゃ

山口県防府(ほうふ)市大字大崎に鎮座玉祖命(たまのおやのみこと)と他一座を祀(まつ)る。延喜(えんぎ)式内社で、周防(すおう)国(山口県南東部)一宮(いちのみや)である。社伝によれば、この神は天孫降臨に際して奉(ぐぶ)した五伴緒神(いつとものおのかみ)の一柱であり、のちに佐波(さなみ)郡大崎(現社地)において神避(さ)りしにより、社殿を建てて奉斎したという。『今昔物語』には、「一玉祖明神」と当社のことがみえ、平安時代には周防国の代表的神社であったことがわかる。江戸時代には藩主毛利氏の厚い崇敬を受け、1871年(明治4)国幣小社に、1915年(大正4)同中社に昇格した。例祭日は9月25日。例祭日前夜に行われる相撲(すもう)による占手(うらての)神事が知られる。社宝には重源(ちょうげん)の建久(けんきゅう)6年(1195)重建目録、大内弘幸(ひろゆき)の建武(けんむ)2年(1335)重建目録(いずれも国の重要文化財)、源義経(よしつね)奉納の太刀(たち)などがある。

[阪本是丸]


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防府市歴史用語集 「玉祖神社」の解説

玉祖神社

 周防[すおう]国で一番格式の高い神社(一宮[いちのみや])です。重源[ちょうげん]や毛利秀就[もうりひでなり]によって再建されながら、今も残る神社です。いつ建てられたかはわかりませんが、奈良時代にはあったようです。勾玉[まがたま]や管玉[くだたま]をつくる人々(玉造連[たまつくりのむらじ])の祖先の玉祖命[たまのおやのみこと]をまつっています。 また、仲哀[ちゅうあいてんのう]天皇の頃にはじまったとされる占手神事[うらてのしんじ]が行われるのもこの神社です。

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デジタル大辞泉プラス 「玉祖神社」の解説

玉祖(たまのおや)神社

山口県防府市にある神社。延喜式内社。祭神は玉祖命(たまのおやのみこと)。周防国一之宮。玉祖命が三種の神器のひとつ、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を作ったという神話から、宝石眼鏡・時計・カメラなどの関係者から信仰を集める。地元では「たまっさま」とも呼ばれる。

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精選版 日本国語大辞典 「玉祖神社」の意味・読み・例文・類語

たまのおや‐じんじゃ【玉祖神社】

山口県防府(ほうふ)市大崎にある神社。旧国幣中社。祭神は玉祖命ほか。玉祖命は天孫降臨に供をした五伴緒命(いつとものおのみこと)の一柱で、この地でなくなり玉岩窟に葬られたと伝える。周防国一の宮。たまっさま。

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百科事典マイペディア 「玉祖神社」の意味・わかりやすい解説

玉祖神社【たまのやじんじゃ】

山口県防府市大崎に鎮座。旧国幣中社。玉祖命ほか一柱をまつる。延喜式内社とされ,周防(すおう)国の一宮。例祭のほかに玉の祭,卜手(うらての)神事などが行われる。宝石・眼鏡の守り神として信仰される。

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デジタル大辞泉 「玉祖神社」の意味・読み・例文・類語

たまのおや‐じんじゃ【玉祖神社】

山口県防府市にある神社。祭神は玉祖命ほか一座。周防すおう一の宮。玉祖大明神。俗称、たまっさま。

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世界大百科事典 第2版 「玉祖神社」の意味・わかりやすい解説

たまのやじんじゃ【玉祖神社】

山口県防府市に鎮座。玉祖(たまのおや)命のほか一柱(不詳)をまつる。他の一柱は石凝姥(いしこりどめ)命というもある。《延喜式》神名帳には玉祖神社二座とある。周防国一宮で,《今昔物語集》に〈玉祖大明神〉と見えている。867年(貞観9)従三位,964年(康保1)従一位が授けられた。社伝によれば,玉祖命は天孫降臨に従った五伴緒のうちの一神で,のちこの地で亡くなったので社殿を建て奉斎したという。当社より北方約500mの御祖に玉の岩屋があり,その墳墓と伝えられている。

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世界大百科事典内の玉祖神社の言及

【周防国】より

…738年(天平10)の〈周防国正税帳〉によると,正税198万9200束余,《和名抄》の田積7834町3反269歩。国分寺は国府の西北方に現存し,惣社金切社(佐波神社)は府域西北隅に接して,一宮の玉祖(たまのや)神社は佐波川下流右岸に鎮座する。 山陽官道が内海寄りを縦走し,安芸国から石国(いわくに),野口,周防,生屋(いくのや),平野,勝間,八千(やち),賀宝(かほ)の各駅家を結んで長門国に入った。…

※「玉祖神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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