猿も木から落ちる(読み)さるもきからおちる

精選版 日本国語大辞典 「猿も木から落ちる」の意味・読み・例文・類語

さる【猿】 も 木(き)から落(お)ちる

その道にすぐれている人でも、時には失敗をすることがあるというたとえ。弘法(こうぼう)にも筆のあやまり。上手(じょうず)の手から水が漏れる。
※俳諧・鷹筑波(1638)三「猿(サル)も木から落(オツ)るたとへの木葉かな〈定之〉」

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デジタル大辞泉 「猿も木から落ちる」の意味・読み・例文・類語

さるからちる

木登りがじょうずな猿でも時には誤って落ちる。その道にすぐれた者でも、時には失敗することがあるということのたとえ。弘法にも筆の誤り。上手じょうずの手から水が漏れる。
[類語]河童の川流れ孔子くじの倒れ弘法にも筆の誤り上手の手から水が漏れる竜馬りゅうめつまず念者の不念

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ことわざを知る辞典 「猿も木から落ちる」の解説

猿も木から落ちる

木登りのじょうずな猿でも木から落ちることがある。名人達人でも時には失敗するたとえ。まして凡人なら、少々の失敗はしかたがないことになる。

[使用例] 老弁護士の無念さがよく理解できた。〈略〉信頼関係にあった依頼人に丸め込まれていたのである。
 「猿も木から落ちると言うじゃありませんか? 苦になさらないほうがいいですわ」
 彼女は、爺さんを慰めた。
 「猿だと? お前さん、減らず口を叩くな」[和久峻三*騙すつもりじゃなかったのに|1985]

[使用例] 「ごめんなさいね」とマリ子は、ぼくの体にもたれるようにして呟いた。「なにが?」「馬に乗せたりして……」「なあに。平気さ。猿も木から落ちる」[遠藤周作わたしが・棄てた・女|1964]

[解説] 子どももよく知っていることわざで、小学校低学年でこの表現に出会って、ことわざに興味を持つことが多いようです。この時期には、ことわざが文字どおりの意味だけではなく、比喩として使われることがわかり、ことわざのユーモアも感じられるせいでしょう。サルは、ユーモアや笑い(ことわざの重要な要素の一つです)につながる一種キャラクターで、子どもに人気があり、「猿の尻笑い」や「見ざる聞かざる言わざる」にも登場します。
 なお、このことわざには、多く類句がありますが、いつでもどれを使ってもよいわけではなく、相手との関係やその場の雰囲気など、状況に応じて使い分けるセンスが必要になります。

[類句] 弘法にも筆の誤り河童の川流れ上手の手から水が漏れる

朝鮮원숭이도 나무에서 떨어진다(猿も木から落ちる)

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