猶し(読み)ナオシ

デジタル大辞泉 「猶し」の意味・読み・例文・類語

なお‐し〔なほ‐〕【猶し/尚し】

[副]《「し」は強めを表す助詞
それでもやっぱり。依然として。
たちばなは花にも実にも見つれどもいや時じくに―見がほし」〈・四一一二〉
ますます。いっそう。
「鳥の飛ぶよりも、―疾く飛びに行くに」〈今昔・一〇・三四〉
(あとに「ごとし」を伴って)あたかも。まるで。
「汝を守る事、―眼精を守るが如くなり」〈今昔・一七・一七〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「猶し」の意味・読み・例文・類語

なお【猶】 し

① 「なお(猶)(一)①」を強めた言い方。やっぱりもと通り。それでもやっぱり。
万葉(8C後)一八・四一一二「橘は花にも実にも見つれどもいや時じくに奈保之(ナホシ)見が欲し」
② 「なお(猶)(一)③」を強めた言い方。まだしも。それでもやはり。この程度でもやはり。
※今昔(1120頃か)六「一四句偈を誦せる、猶し如此し。何况や、解説(げせつ)書写・供養せらむ人の功徳を可思遣し」
③ 「なお(猶)(一)④」を強めた言い方。ますます。いちだんと。
※今昔(1120頃か)一〇「只、鳥の飛よりも、猶し、疾く飛び行くに」
④ 「なお(猶)(一)⑤」を強めた言い方。まるで。あたかも。ちょうど。
※大日経長保二年点(1000)四「如(ナホシ)忿怒して相ひ擬する形のごとくする」

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