デジタル大辞泉
「狼狽」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
うろた・える うろたへる【狼狽】
〘自ア下一(ハ下一)〙 うろた・ふ 〘自ハ下二〙
① 驚きのあまり、どうしてよいか分からずまごまごする。あわてふためく。とまどふ。
ろうばいする。うろたゆ。
※虎明本
狂言・
武悪(室町末‐近世初)「汝は
日比(ひごろ)の口ほどにも無ひうろたへたことを言ふ」
② まごまごと歩きまわる。うろうろと歩く。うろつく。
※俳諧・三千風笈さがし(1701)下「今迄ここらにはうろたえてゐられぬ」
[語誌](1)「うろたえ」が変化して「うろたい」になった例も見られる。「咄・学習院本昨日は今日の
物語」の「
川渡(かはわたし)うろたいて」、「咄・鹿の
巻筆‐四」の「あなたこなたとうろたいける」など。
(2)さらに四段活用化したと見られる例として、「
西洋道中膝栗毛〈
仮名垣魯文〉二」の「うろたふひゃうしに、つるつるとすべりて」がある。
(3)室町ごろからヤ行にも活用した。→
うろたゆ
ろう‐ばい ラウ‥【狼狽】
〘名〙 (「狼」も「狽」もオオカミの一種。「狼」は前足が長く
後足は
短いが、「狽」はその逆で、常にともに行き、離れれば倒れるので、あわてうろたえるというところから) 思いがけない出来事にあわてふためくこと。どうしてよいかわからず、うろたえ騒ぐこと。
※
三教指帰(797頃)下「歎
二進退之惟谷
一、纏
二起居之狼狽
一」
うろたえ うろたへ【狼狽】
〘名〙 (形動) (動詞「うろたえる(狼狽)」の
連用形の
名詞化) あわてふためくこと。また、そのさま。とまどい。ろうばい。
※
浮世草子・風流曲三味線(1706)四「うろたへな太夫様でないが、なんとして今日は狂言が出来ませぬぞ」
※
草枕(1906)〈
夏目漱石〉六「女は粛然として、焦
(せ)きもせず、狼狽
(ウロタヘ)もせず」
うろた・ゆ【狼狽】
〘自ヤ下二〙 (ハ行下二段動詞「うろたふ(狼狽)」から転じて、室町頃から用いられ、
終止形は多くの場合「うろたゆる」) =
うろたえる(狼狽)※日葡辞書(1603‐04)「Vrotayuru(ウロタユル)」
※浄瑠璃・心中天の網島(1720)中「折も折、よふお帰りなされたと夫婦はてんどううろたゆる」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
普及版 字通
「狼狽」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報