狭間(読み)さま

精選版 日本国語大辞典 「狭間」の意味・読み・例文・類語

さ‐ま【狭間】

〘名〙
① すきま。せまいあいだ。ひま。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)一「善住して堅固にあり。欠(ひま)無く隙(サマ)(〈別訓〉ひま)無きが譬如く」
浄瑠璃・心中天の網島(1720)上「格子のさまより〈略〉ゑいと突くに」
城壁や櫓(やぐら)などの内側から外をうかがい、矢、鉄砲、大筒を放つための小窓。船では、軍船の矢倉楯板にあける。矢狭間鉄砲狭間、大筒狭間がある。〔名語記(1275)〕
③ 一般に小窓をいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
浮世草子好色一代男(1682)四「明り取の狭間(サマ)より隣をみれば」

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デジタル大辞泉 「狭間」の意味・読み・例文・類語

はざ‐ま【狭間/迫間/間】

《古くは「はさま」》
物と物との間の狭い所。すきま。「雲の―から光が射す」
谷。谷間。「山の―に開けた温泉町
ある事柄と次の事柄との間の時間。「生死の―」
城壁に設けた、矢や鉄砲を発射するための小穴。矢狭間やざま。鉄砲狭間。
[類語](1あわい合間あいますきまひま間隙かんげき/(2峡谷渓谷幽谷空谷谷間たにま谷間たにあい渓間谷地谷戸やつ山峡雪渓谷底窪地低地クレバス

さ‐ま【狭間】

城壁・やぐら・軍船のへさきなどに設け、内から外をうかがったり矢・鉄砲などを用いたりするための小窓。石狭間・矢狭間・鉄砲狭間・大砲狭間・隠し狭間などがある。
すきま。せまいあいだ。
「どこやら―があき樽の、底の心は澄まざりけり」〈浄・淀鯉
窓。
「明かり取りの―より隣を見れば」〈浮・一代男・四〉

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改訂新版 世界大百科事典 「狭間」の意味・わかりやすい解説

狭間 (はざま)

城内から矢や弾丸を射出すための穴で,塀や櫓(やぐら)の壁に小さく開口する。正しくは〈さま〉と読み,小間,矢間矢窓ともいう。矢狭間(やざま)は縦に細長く,鉄砲狭間は丸,三角,四角のほかさまざまな多角形があった。また石垣の上面を削りくぼめたものを石狭間という。中世の城で土塁に小さなくぼみのあるのも狭間の一種と考えられる。
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世界大百科事典(旧版)内の狭間の言及

【狭間】より

…正しくは〈さま〉と読み,小間,矢間,矢窓ともいう。矢狭間(やざま)は縦に細長く,鉄砲狭間は丸,三角,四角のほかさまざまな多角形があった。また石垣の上面を削りくぼめたものを石狭間という。…

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