独裁
どくさい
dictatorship
少数者に権力が集中し,大衆の政治的自由が抑圧されている統治状態。専制とは異なり,被支配者である大衆の政治参加と積極的支持に基づく点が特色である。大衆操作とマス・コミュニケーションを前提とするきわめて現代的な統治形態である。起源は,古代ローマ共和政のもとで重大な危機に際して,一定期間絶体的な権限を付与されて設置されたディクタトル (独裁官) に由来する。独裁は重大な社会危機に出現し,事態の進展を促進し,あるいはその進展を阻止または抑圧する。一般にはきわめて個人的な政治体制をいうが,軍や単独政党を基礎として制度的独裁ともなりうる。 C.シュミットは独裁を委任独裁と主権独裁とに区分しており,またマルクス主義においてはプロレタリアート独裁の観念がある。
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独裁【どくさい】
統治権力が個人や特定の機関あるいは集団に集中し,その運用について責任を問う制度が消滅あるいは停止させられている政治形態。英語でdictatorship,ドイツ語でDiktaturなど。専制よりも広く,階級独裁,緊急独裁,一党独裁(一党制)などの場合を含む。独裁は,権力の抑制を主眼とする自由主義とは対立する。ロシア革命以後,プロレタリアート独裁という概念・政治体制が提起され,また第2次大戦後の植民地の独立に伴い,発展途上国において経済開発と国民統合を急ぐために,少数民族などを犠牲にしたりする〈開発独裁〉と呼ばれる政治形態が広くみられる。
→関連項目専制政治|ファシズム
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どく‐さい【独裁】
〘名〙 絶対的権力を持つ特定の個人または団体・階級が、強い力で物事を
裁決・支配すること。また、独断で物事を決めること。
※明治月刊(1868)〈大阪府編〉一「内外の政事皆帝の独裁に出て議政官は
拱手して其員に充るのみなり」
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デジタル大辞泉
「独裁」の意味・読み・例文・類語
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どくさい【独裁 dictatorship】
特定の個人,集団または階級が,権力を集中・独占して支配する政治形態。広義には,他人の意見を聞きいれず一人でものごとを決める意で,企業内(〈社長の独裁〉)や集団内(〈町内会長の独裁〉)で用いられることがあるが,それは政治用語から派生した比喩的用法である。類語として専制政治despotism,オートクラシーautocracy,暴政・僭主政tyrannyなどがあり,日本語の独裁はこれらの意味を含み,despotism,autocracy,tyranny等も独裁と訳される場合がある。
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