独立権(読み)どくりつけん(英語表記)right of independence

精選版 日本国語大辞典 「独立権」の意味・読み・例文・類語

どくりつ‐けん【独立権】

〘名〙
① 国際法上、国家内政外交に関し、独立して主権を行使できる権利
政府や他の官庁から干渉されず、独立して行使できる権限
東京日日新聞‐明治二五年(1892)一月一三日「右児玉判事の転任は将来司法官の独立権に影響する所尠からざるを以て」

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デジタル大辞泉 「独立権」の意味・読み・例文・類語

どくりつ‐けん【独立権】

国家が他国の干渉・拘束を受けないで内政・外交を処理する国際法上の権利。

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改訂新版 世界大百科事典 「独立権」の意味・わかりやすい解説

独立権 (どくりつけん)
right of independence

独立権は,国家の基本権の一つとしてあげられることもあるが,近年は,これを一つの権利とせず,主権の一側面として把握する傾向が顕著である。すなわち,主権概念には二つの側面が含まれる。第1は対内的な側面であって,国家権力の国内における最高性または最高性を有する国家権力そのものを意味する。したがって,対内主権としての主権は,領域権と同じ意味になる。第2は対外的な側面であって,国家が外部の支配に従属しないこと,または,そのような国家権力そのものを意味する。したがって,対外主権としての主権は,独立権と同じ意味になると説明される。日本国憲法前文(3段)の〈……政治道徳法則は,普遍的なものであり,この法則に従ふことは,自国の主権を維持し,他国と対等関係に立たうとする各国責務である……〉でいう〈主権〉は,まさに独立権と同じ意味である。このように,主権の一側面が独立権ということになるならば,〈外部の支配に従属しない〉国家のことを,主権国家といってもいいし,独立国といってもいい。主権国家は,条約および国際慣習を通じて,種々の権利・義務をもつ。したがって,国家が種々の義務を負うことは,独立権と矛盾しない。しかし,だからといって,どんな条約を結び,どんな義務を負っても,独立権はそこなわれないとはいえない。弱い主権国家が強い主権国家と保護条約を結んで被保護国となる場合,その独立権は制限され,その国家は,半主権国,不独立国などと呼ばれることになる。
主権
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「独立権」の意味・わかりやすい解説

独立権
どくりつけん
right of independence

国際法上,国家に認められた基本的権利の一つ。主権を対外的側面からみたもので,外国との関係において,外国の支配権力に服することなく,対外・対内事項を処理しうる権利をいう。国家は自己の意思に反して他の国家権力に従属しない,あるいは拘束されないことを意味するので,対外主権とも呼ばれる。

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