狢
むじな
動物学上の呼称ではなく、哺乳(ほにゅう)類のタヌキまたはアナグマの俗称。貉とも書く。妖怪(ようかい)視されることが多く、化けて人をだましたり、山道を歩いていると砂をまき掛けたりするほか、高僧になりすまして犬に噛(か)み殺された話、汽車に化けて本当の汽車にひき殺された話などもある。人を化かす点はタヌキと同様で、しかしどこか憎めないところがある。関東から東北にかけて、10月10日の十日夜(とおかんや)の藁(わら)鉄砲を「狢ばったき」といい、狢追いをする。福井県の一部では、小正月(こしょうがつ)に青年たちが狢狩りという予祝行事をしたという。
[井之口章次]
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デジタル大辞泉
「狢」の意味・読み・例文・類語
むじな【×狢/×貉】
1 アナグマの別名。《季 冬》「山がつや―しとめし一つだま/蛇笏」
2 《毛色がアナグマに似ているところから混同して》タヌキのこと。《季 冬》
3 《「同じ穴の狢」の略》同類の悪党。
「―めらなぞと女房は寄せ付けず」〈柳多留・二七〉
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うじな【狢】
※
書紀(720)推古三五年二月(岩崎本訓)「
陸奥国に狢
(ウジナ)有りて人に化
(な)りて歌
(うたうた)ふ」
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狢 (ムジナ)
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報