狂歌若葉集(読み)キョウカワカバシュウ

デジタル大辞泉 「狂歌若葉集」の意味・読み・例文・類語

きょうかわかばしゅう〔キヤウカわかばシフ〕【狂歌若葉集】

江戸中期の狂歌集。2巻。天明3年(1783)刊行唐衣橘洲による編纂へんさん

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改訂新版 世界大百科事典 「狂歌若葉集」の意味・わかりやすい解説

狂歌若葉集 (きょうかわかばしゅう)

天明狂歌初発期の代表的撰集。唐衣橘洲(からごろもきつしゆう)編。自序,置来(内山賀邸)序。1782年(天明2)序,83年刊。上下2冊。坡柳を巻頭に以下67人の作843首および漢詩1首を作者別に配列編集したもの。おもな作者は椿軒(内山賀邸),朱楽菅江(あけらかんこう),浜辺黒人,紀定丸,飛塵馬蹄,樋口関月,出来秋万作,蛙面坊懸水(あめんぼうけんすい),平秩東作(へずつとうさく),元木網(もとのもくあみ),四方赤良(よものあから),智恵内子(ちえのないし),物事明輔,鹿都部真顔(しかつべのまがお),算木有政,物事うとき,古瀬勝男,橘洲。序文によれば橘洲,東作,懸水,木網,勝男5人の共編で,編成ったのが4月であったので《若葉集》と命名したという。天明狂歌最初の刊本であるが,ほぼ同時に刊行されたライバル四方赤良の《万載狂歌集》に比べ不評であった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「狂歌若葉集」の意味・わかりやすい解説

狂歌若葉集
きょうかわかばしゅう

江戸時代後期の狂歌集。唐衣橘洲 (からごろもきっしゅう) ,平秩東作 (へずつとうさく) ,元木網 (もとのもくあみ) ,蛙面坊懸水,古瀬勝雄の撰。2巻。天明3 (1783) 年刊。作者別に約 60人の狂歌を集め,橘洲の 107首をはじめ,内山賀邸 (椿軒) ,東作,木網らが多数入集している。この期の代表的狂歌作者である四方赤良 (よものあから) ,朱楽菅江 (あけらかんこう) らが軽視されており,この頃の狂歌壇の事情を示している。

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世界大百科事典(旧版)内の狂歌若葉集の言及

【天明狂歌】より

…とくに赤良は〈高き名のひびきは四方にわき出て赤良赤良と子供まで知る〉(蓼太)と詠まれるほどであった。狂歌は時の興によって詠むものであって,ことごとしく集など編むべきでないという意識もあり,このグループから狂歌集はなかなか出版されなかったが,1783年(天明3)橘洲の《狂歌若葉集》が刊行されると,同年一挙に10余点の狂歌書が刊行された。その一つ《狂歌知足振(しつたふり)》は江戸の狂歌グループとして小石川連,吉原連,芝連,四方連,朱楽連,堺町連,本町連を挙げ,登録作者は310人に及んでいる。…

※「狂歌若葉集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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