狂(漢字)

普及版 字通 「狂(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] キョウ(キャウ)
[字訓] くるう

[説文解字]
[甲骨文]
[その他]

[字形] 形声
正字はに従い、(こう)声。は〔説文六下に「艸木生するなり」とするが、卜文・金文の字形は、鉞頭の形である王の上に、(止(あし))を加えた形。おそらく出行にあたって行われる呪儀で、魂振りの意があり、神の力が与えられるのであろう。秘匿のところでその礼を行うことを匡といい、神意を以て邪悪を匡(ただ)すことを匡正という。その霊力が獣性のもので、誤って作用し、制御しがたいものとなることを狂という。〔説文〕十上に「犬(せきけん)なり」と(か)み癖のある犬の名とするが、発狂・狂痴の状態をいう語である。〔書、微子〕「我は其れ狂を發出せん」、〔論語、公冶長〕「吾が黨の小子狂然(ひぜん)としてす」、〔論語、子路〕「子曰く、中行を得て之れと與(とも)にせざるときは、必ずや狂狷(きやうけん)か」のように、古くから理性と対立する逸脱の精神として理解された。清狂・風狂なども、日常性の否定に連なる一種の詩的狂気を示す語であった。

[訓義]
1. くるう、制御しがたいある力に動かされる状態をいう。とりとめもなくうごく。
2. 狂気、気がふれる、くるった人。
3. おろか、まどう。
4. あわただしい、おごりたかぶる。

[古辞書の訓]
名義抄〕狂 クルフ・クマル・イツハル・ヨギル 〔字鏡集〕狂 ヨギル・マドフ・クルフ・タハブル・タフル・モノグルヒ・イツハル

[声系]
〔説文〕に狂声として誑・の三字を収める。誑三上は「欺くなり」、八上は「行するなり」、十下は「るなり」とする。みな狂の声義を承ける。声と同系の語である。

[語系]
狂・giuang、誑kiuang、kuangは声義近く、惶・遑huangは同系の語。は犬などが狂い廻ることをいう。国語の「くるう」は、くるくると回転する意である。

[熟語]
狂逸狂飲・狂易・狂艶・狂花狂歌・狂華・狂会・狂怪・狂懐・狂客・狂悍・狂簡狂喜・狂気・狂・狂挙・狂狂・狂愚・狂・狂撃・狂蹶・狂譎・狂・狂狷狂言・狂瞽・狂顧・狂哭・狂子・狂死・狂恣・狂士・狂疾・狂者・狂・狂縦・狂攘・狂刃・狂生・狂噬狂説・狂走・狂譟・狂躁狂草・狂賊・狂態・狂痴・狂蝶・狂直・狂騁・狂・狂・狂徒・狂怒・狂奴・狂鬧・狂濤・狂・狂童・狂波・狂悖・狂吠・狂筆・狂・狂夫・狂風・狂僻・狂・狂暴・狂妄・狂勃狂奔・狂名・狂薬狂乱・狂瀾・狂・狂惑
[下接語]
狂・吟狂・愚狂・古狂・荒狂・詐狂・詩狂・酒狂・唱狂・酔狂・清狂・疎狂・楚狂・狂・譟狂・躁狂・痴狂・穉狂・狂・狂・頓狂・熱狂・悖狂・発狂・風狂・放狂・妖狂・佯狂・陽狂

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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