犬山(読み)いぬやま

精選版 日本国語大辞典 「犬山」の意味・読み・例文・類語

いぬ‐やま【犬山】

[1] 〘名〙 犬を使って山野に狩猟すること。または、それを業としている人。
今昔(1120頃か)二六「此(この)人犬山と云事をして、数(あまた)の犬を飼(かひ)て、山に入て猪・鹿を犬に令噉殺(くひころさしめ)て取事を業としける人也」
[2] 愛知県北西部、木曾川南岸の地名尾張藩家老成瀬氏三万五千石の旧城下町国宝犬山城ほか明治村、京大霊長類研究所、日本ラインなどがある。昭和二九年(一九五四市制

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デジタル大辞泉 「犬山」の意味・読み・例文・類語

いぬやま【犬山】[地名]

愛知県北西部の市。もと尾張藩家老成瀬氏の城下町。犬山城明治村・京大霊長類研究所や日本ラインなどがある。人口7.5万(2010)。

いぬ‐やま【犬山】

山野で、飼いならした犬を使ってする狩り。
「この人―といふ事をして…山に入りて猪鹿を犬にひ殺さしめて」〈今昔・二六・七〉

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改訂新版 世界大百科事典 「犬山」の意味・わかりやすい解説

犬山[市] (いぬやま)

愛知県北部の市。1954年犬山町ほか4村が合体,市制。人口7万5198(2010)。濃尾平野の北東部にあり,木曾川が山岳地帯から平野部に出る渓口に発達した。尾張徳川藩の家老成瀬氏の城下町で,木曾川を見おろす丘上にそびえる犬山城(国宝)は市の代表的景勝となっている。付近一帯は飛驒木曾川国定公園に指定されており,城よりやや上流部の木曾川は日本ラインとよばれ川下りと夏の鵜飼いで知られる。犬山ラインパーク,桃太郎神社,成田山大聖寺,善光寺,野猿公園,京都大学霊長類研究所等のほか,近郊の入鹿池畔には明治時代の建物・風俗資料を展示した明治村,可児市との境に住居その他の民族資料を屋外展示した博物館リトルワールド(1983開館)がある。産業では戦前隆盛をきわめた製糸・紡績工業に代わって,近年では食品,電気機器,輸送機器,金属工業の伸びが著しい。名鉄犬山線,小牧線,各務原線,広見線が通じ,名古屋の近郊として住宅地化も進行しつつある。
執筆者:

尾張国の城下町。地名の初出は後醍醐天皇の皇子宗良親王の《李花集》。近衛家領小弓(おゆみ)荘に属し,1480年(文明12)ごろには荘域は犬山付近に限られた。尾張の北東端に位置し,眼下の木曾川を隔てて美濃国を見下ろす軍事的要地であった。1469年織田広近の築城後,城主の交代はしばしばであったが,関ヶ原の戦後,徳川一門が尾張を領するようになってからは平岩親吉,成瀬正成ら老職の居城となった。1617年(元和3)以降,高3万5000石成瀬氏の城下町としてつづいた。城郭の南面に堀で囲まれた城下があり,東西4本,南北5本の道が交差し,町家は武家屋敷地に取り囲まれ,地子免許・日役地の12ヵ町と周辺6ヵ村とからなる。町政は2人の惣町代(町年寄惣年寄)のもと各町ごとに2人の町代(年行司)と各村の庄屋が担当した。莨(たばこ),米麦,菎蒻(こんにやく),竈石(かまどいし),灰,肴の諸問屋があり,市日は2日と7日の二七市であった。
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