犬吠埼
いぬぼうさき
千葉県北東端、銚子半島(ちょうしはんとう)にあって太平洋に臨む岬。かつては犬吠岬とも書いた。君ヶ浜の長い砂浜の南端に突き出た岬で、白亜紀の砂岩、頁岩(けつがん)の上に成田層、関東ローム層がのり、標高約25メートルである。1874年(明治7)に設置された犬吠埼灯台があり、塔上からの眺望はすばらしく観光名所となっている。犬吠埼灯台は2020年(令和2)、現在も使われている灯台として初めて国の重要文化財として指定された。銚子半島の大半は標高20~30メートルの台地をなし、岬や君ヶ浜付近の松林を除いては一面にキャベツ畑となっている。海岸は水郷筑波国定公園(すいごうつくばこくていこうえん)に指定され、ホテル・旅館など大小の宿泊施設が集中している。また、74メートルの愛宕山(あたごやま)の頂上には地球の丸く見える丘ふれあい広場と展望館がある。灯台下の岩礁地帯には、胎内くぐりとよぶ海食洞がある(立入禁止)。近くに高浜虚子(きょし)の句碑や国木田独歩(どっぽ)の詩碑もあって文学散歩にも適する。総武本線銚子駅からバス20分、または銚子電気鉄道で銚子駅から犬吠駅まで20分。
[山村順次]
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犬吠埼
いぬぼうさき
千葉県北東部,銚子市の東部先端の岬。標高 50m。下総台地の突出部で新第三紀の造山運動以前は島の形であったが,その後の地形の変動によって岬となった。古生代,中生代の地層が露出している。沖には黒潮が流れ,1月でも平均気温 18℃。北に銚子,南に名洗の 2港があり,漁業基地となっている。岬の突端に日本最初の灯台があり,付近には地球展望台,千葉大学の臨海実験場がある。水郷筑波国定公園に属し,観光客も多い。銚子からの銚子電鉄がある。
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犬吠埼【いぬぼうさき】
千葉県銚子市東端の岬。白亜紀の砂岩が海食崖をなして太平洋に突出。灯高52m,光達距離19カイリの灯台が立つ。両側に砂浜が続き,愛宕山には地球展望台があり,磯釣にも適する。水郷筑波国定公園に属し,市街から銚子電鉄線が通じる。
→関連項目銚子[市]
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いぬぼう‐ざき【犬吠埼】
[1] 千葉県、
利根川河口の
一角で太平洋に突き出た岬
(みさき)。航海上の要地で、突端の崖の上に日本最初の回転式灯台である、犬吠埼灯台がある。犬吠岬。
[2] 〘名〙 調子はずれ。銚子のはずれにかけていう語。
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デジタル大辞泉
「犬吠埼」の意味・読み・例文・類語
いぬぼう‐さき【犬吠埼】
《「いぬぼうざき」とも》千葉県銚子市にある岬。太平洋に突出し、突端の崖上に日本最初の回転式灯台がある。犬吠岬。
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いぬぼうさき【犬吠埼】
千葉県北東端,太平洋に突出する銚子半島の岬で,銚子市にある。犬吠崎,犬吠岬とも書く。標高50m,中生代白亜紀砂岩層からなる。青灰色の砂岩の上に白色の犬吠埼灯台が建ち,脚下に岩礁と怒濤の光景があり,北に白砂の雞(とり)ヶ浜と君ヶ浜,利根川の河口や鹿島灘が見え,南に屛風ヶ浦と九十九里浜の大観を見ることができる。岬の最高所の地球展望台には日比友愛の碑が建っている。犬吠埼は銚子観光の中心で,水郷国定公園の一部をなし,総武本線銚子駅から観光バスも出ている。
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