特許法条約(読み)トッキョホウジョウヤク(英語表記)Patent Law Treaty

デジタル大辞泉 「特許法条約」の意味・読み・例文・類語

とっきょほう‐じょうやく〔トクキヨハフデウヤク〕【特許法条約】

特許出願の手続きを国際的に統一し、簡素化することを目指す条約。出願日認定要件の緩和なども盛り込まれている。2000年に世界知的所有権機関WIPO)で採択、2005年発効。日本は平成28年(2016)加盟PLT(Patent Law Treaty)。→特許協力条約

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「特許法条約」の意味・わかりやすい解説

特許法条約
とっきょほうじょうやく
Patent Law Treaty

世界各国の特許出願手続きを統一・簡素化するための条約。英語の頭文字をとってPLTと略称する。2000年にスイスジュネーブで採択され、2005年に発効した。日本は2016年(平成28)に加盟。加盟国(2019年1月時点)はアメリカ、フランス、イギリス、ロシアなど40か国と欧米中心で、中国や東南アジア各国は加盟していない。

 グローバル化の進展で、特許を複数国へ同時出願する事例が急増しており、国際特許を定めた特許協力条約(1978年発効)では不十分との判断から、特許法条約が結ばれた。条約の管理業務は世界知的所有権機関(WIPO(ワイポ))が担当する。特許制度自体の国際的統一をめぐる議論は欧米で対立しており、特許法条約は出願手続きに限定した内容となっている。条約は(1)加盟国の自国語出願を認め、書式を必要最低限に絞り、国際郵便を認めるなど出願しやすい、(2)書類不備があっても却下前にかならず特許当局から通知するなど、所定期間内の救済措置を受けられる、(3)出願国の代理人(弁護士)を不要とするなど出願人の負担を軽減する、の三つを特徴とする。このため日本企業にとっては加盟国での特許出願がしやすくなるうえ、加盟国の企業にとっても日本での出願手続きが容易になる利点がある。なお類似の条約として、商標の出願手続きを世界各国で統一・簡素化する「商標法に関するシンガポール条約」(Singapore Treaty on the Law of Trademarks:STLT、2009年発効)がある。2019年時点で加盟国は47か国で、日本は2016年に加盟した。

[矢野 武 2019年5月21日]

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