胸部X線所見上に粒状や輪状のびまん性陰影がみられる、原因不明の間質性肺炎。肺胞壁(間質)が広範囲の炎症を伴って肥厚し、線維化により肺が硬くなる肺線維症へと進行し、結果として呼吸困難などに陥ることの多い疾患である。そのため特発性線維化肺炎ともよばれる。予後は不良のものが多く、急性に進行すると心不全などを伴って短期間で死に至るケースもある。国により特定疾患(難病)に指定されている。分類としては、急性のものに急性間質性肺炎(AIP:acute interstitial pneumonia)、亜急性のものに特発性器質化肺炎(閉塞(へいそく)性細気管支炎性器質化肺炎、BOOP:bronchiolitis obliterans organizing pneumonia)、亜急性~慢性のものに非特異性間質性肺炎(NSIP:nonspecific interstitial pneumonia)、慢性のものに特発性肺線維症(IPF:idiopathic pulmonary fibrosis)、呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患(RB-ILD:respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease)、剥離(はくり)性間質性肺炎(DIP:desquamative interstitial pneumonia)があり、IPF、NSIP、BOOPの頻度が高い。
肺を支持する組織である肺胞は肺全体の85%を占め、血液中に酸素を取り込み二酸化炭素を放出するガス交換を行っている。肺胞を取り囲む壁を間質とよび、ここに炎症が生じて肥厚し硬くなり、肺の膨張や収縮が困難となったものをびまん性間質性肺炎、あるいは単に間質性肺炎とよぶ。間質性肺炎は、肺活量の低下をみる拘束性換気障害や、動脈血中の酸素分圧が低下する低酸素血症などがみられる。痰(たん)を伴わない乾性咳嗽(がいそう)、いわゆる空咳(からせき)も特徴的である。特発性間質性肺炎は間質性肺炎にみられる特徴的な症状を呈するが、特発性が意味するように原因は不明である。ウイルス感染や塵肺(じんぱい)、膠原(こうげん)病、薬剤、また肺組織に免疫グロブリンなどの沈着が認められることから免疫複合体などが原因として疑われているが、まだ十分には解明されていない。治療にはステロイド薬や免疫抑制薬が有効とされるが、ウイルス感染が認められるケースには使用しない。
[編集部]
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