特定扶養控除(読み)トクテイフヨウコウジョ(英語表記)special tax deduction for dependents--children aged between 16 and 22

デジタル大辞泉 「特定扶養控除」の意味・読み・例文・類語

とくてい‐ふようこうじょ〔‐フヤウコウヂヨ〕【特定扶養控除】

納税者特定扶養親族(19歳以上23歳未満)がいる場合に適用される所得控除控除額は所得税で63万円、個人住民税で45万円。
[補説]一般の扶養親族に対する控除額は所得税で38万円、個人住民税で33万円。特定扶養親族に対しては、これよりも所得税で25万円、個人住民税で12万円が上乗せされている。平成22年度(2010)までは16歳以上23歳未満の扶養親族が対象だったが、高校の実質無償化に伴い、高校生に相当する16歳以上19歳未満の扶養親族については、控除の上乗せ分が廃止された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「特定扶養控除」の解説

特定扶養控除

特定扶養親族(扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上23歳未満の人)に対する所得税・住民税の控除のこと。高校生、大学生などの子どもを持ち、教育費がかさむ世代の税負担の軽減するために創設されたもの。
所得税法第84条で定められた63万円(基礎控除38万円と上乗せ分25万円)、地方税法第34条で定められた45万円(基礎控除33万円と上乗せ分12万円)が、それぞれ控除される。2009年12月22日、民主党・鳩山政権は臨時閣議で決定した2010年度税制改正大綱の中で「特定扶養控除の一部廃止」を明記した。民主党の選挙公約の一つである「公立高校無償化」(高校生を扶養する世帯に一律11万8千800円を給付する制度)の財源にあてるためである。
具体的には、特定扶養親族の中で、高校生にあたる年齢の16歳から19歳未満の人の扶養控除分のうち、所得税の上乗せ分25万円と住民税の上乗せ分12万円を廃止し、特定扶養控除額を所得税38万円、住民税33万円とする。19歳以上23歳未満の人の特定扶養控除は、現行通りとした。「所得控除から手当へ」と、国民への所得再配分機能を高めていくために、今後も成年扶養控除見直しなどの抜本的な税制改革に取り組む方針の民主党政権だが、「特定扶養控除の維持」も政権公約であったため、特定扶養控除全体の見直しは来年度以降に先送りされた。
高校無償化の給付は10年から始まるが、税制の実務上、所得税の特定扶養控除の減額は11年1月、住民税の特定扶養控除の減額は12年6月より適用される。なお、文部科学省試算によると、3人家族をモデルケースにして、16~18歳の特定扶養控除上乗せ分廃止の増税分と「高校無償化」による11万8千800円の給付を差し引き計算すると、年収250万円世帯への実質支援額は9万4千300円。年収800万円世帯では半額の5万6千800円。年収1千800万円世帯では2万4千300円と、5分の1になる。「すべての所得層で高校無償化の恩恵が目減りする」と今後論議を呼びそうだ。

(島村由花  コラムニスト / 2010年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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