特別養子(読み)とくべつようし

精選版 日本国語大辞典 「特別養子」の意味・読み・例文・類語

とくべつ‐ようし ‥ヤウシ【特別養子】

〘名〙 実方(じつかた)との法律関係が断絶された養子。六歳未満の者について、一定期間の試験養育を経たのち、家庭裁判所審判によって成立する。昭和六三年(一九八八新設

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デジタル大辞泉 「特別養子」の意味・読み・例文・類語

とくべつ‐ようし〔‐ヤウシ〕【特別養子】

実親との法的な親子関係を解消し、養親と実の親子と同様の関係を結ぶ養子戸籍には養親の実子として記載される。→特別養子縁組普通養子
[補説]養子の年齢は、以前は「原則6歳未満」とされたが、令和2年(2020)に「原則15歳未満」に引き上げられた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「特別養子」の意味・わかりやすい解説

特別養子
とくべつようし

特別養子縁組による養子。特別養子縁組は,もっぱら子の利益をはかることを目的として 1987年に新設され (民法 817の2) ,家庭裁判所の審判によって成立し養子と実方の血族との親族関係が終了する点において,従来から存在する普通養子縁組とは大きく異なる。この審判は6ヵ月以上の試験養育の状況を考慮したうえでなされる (817条の8) 。養親となる者は原則として 25歳以上の夫婦に限られ,夫婦がともに養親とならなければならない (817条の3,4) 。また,養子となる者は原則として縁組の審判申立て時に6歳未満でなければならない (817条の5) 。さらに,特別養子縁組の成立には養子となる者の父母の同意が必要であり (817条の6) ,父母による養子となる者の監護が著しく困難または不適当であるなど特別の事情があり子の利益のため特別養子縁組の成立が特に必要であると認められなければならない (817条の7) 。特別養子縁組が成立すると養子と実方の父母およびその血族との親族関係は終了し (817条の9) ,養親による虐待など特別の事由がある場合には家庭裁判所が離縁を認めることはできるが,協議または訴訟による離縁はできなくなる (817条の 10) 。なお,戸籍には実子とほぼ同様の記載がなされ,実父母の氏名は記載されない (戸籍法 20条の3など) 。

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百科事典マイペディア 「特別養子」の意味・わかりやすい解説

特別養子【とくべつようし】

養子と実方の父母およびその血族との親族関係が終了し,戸籍上実子とほぼ同じ記載がなされ,実父母の氏名が記載されないような特別の養子。実父母による監護が著しく困難または不適当であるような未成年の子どもの養育のための積極的福祉を目的とする近時の欧米型の養子制度にならって,1987年の民法改正によって新設された(民法817条の2以下)。普通の養子制度と異なるのは,当事者の合意ではなく養親となる者の請求に基づいた家庭裁判所の審判によって成立すること,6ヵ月以上の試験養育(事前監護)が前提となること,養親となるものは原則的に25歳以上の既婚者に限られ夫婦がともに養親とならなければならないこと,養子となる者は通常6歳未満であること,実父母の同意が必要であること,原則として離縁できないことなどである。
→関連項目養子縁組

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世界大百科事典(旧版)内の特別養子の言及

【養子】より

…第2次大戦前の日本には〈継親子(けいしんし)〉や〈嫡母庶子〉も親子と同一の親族関係を生ずるとされていたが,現行法上は養子が唯一の〈法定親子関係〉である(民法792~817条の11)。養子には〈届出〉によって成立する普通養子のほか,1988年から施行された〈審判〉によって成立する特別養子がある。実親族関係の消滅の有無,離縁の制限の点に大きな違いがある。…

※「特別養子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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