特別上告(読み)とくべつじょうこく

精選版 日本国語大辞典 「特別上告」の意味・読み・例文・類語

とくべつ‐じょうこく ‥ジャウコク【特別上告】

〘名〙 民事訴訟で、高等裁判所上告審として行なった判決について、憲法違反理由として最高裁判所に行なう不服申立て。刑事訴訟では最高裁判所が必ず上告審となるため認められない。違憲上告ともいう。

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デジタル大辞泉 「特別上告」の意味・読み・例文・類語

とくべつ‐じょうこく〔‐ジヤウコク〕【特別上告】

民事訴訟法上、高等裁判所上告審としてなした終局判決などについて、違憲を理由として最高裁判所に対して行う不服申し立て。違憲上告。再上告

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「特別上告」の意味・わかりやすい解説

特別上告
とくべつじょうこく

民事訴訟法上、不服申立てができない終局判決であっても、憲法問題を理由とするときは最高裁判所の判断を仰ぐことができる制度。違憲上告または再上告ともいう。刑事訴訟法上は、すべての上告審は最高裁判所が担当するので、この制度はない。

 最高裁判所は、いっさいの法律、命令規則または処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である(憲法81条)。そこで、通常の不服申立てができなくなった裁判についてでも、憲法問題を理由とするときは、その不服についてさらに最高裁判所で判断を受ける機会を設けておく必要がある。すなわち、高等裁判所が上告審としてなした終局判決、および仮差押えまたは仮処分に関し高等裁判所が第二審もしくは第一審としてなした終局判決、または地方裁判所が第二審としてなした終局判決に対して、その判決に憲法の解釈の誤りがあること、そのほか憲法違反があることを理由とするときは、最高裁判所にさらに上告することができる(民事訴訟法327条)。しかし、この特別上告は原判決の確定を遮断しない(同法116条)から、その性格本来の上訴とはいえない。それは確定判決対象とする点で再審の訴えに類似する不服申立てであるが、この訴訟手続には、その性質に反しない限り一般の上告に関する規定が準用される(同法327条2項)こととなっている。

[内田武吉・加藤哲夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「特別上告」の意味・わかりやすい解説

特別上告 (とくべつじょうこく)

民事訴訟において,高等裁判所が上告審として下した終局判決に対して,憲法の解釈の誤りその他憲法の違反があることを理由とするときに限り,とくに最高裁判所にすることができる上告(民事訴訟法327条1項)。違憲上告ともいう。また高等裁判所が上告審として下した終局判決に対してなされるものは,再上告といわれることもある。特別上告は,憲法上最高裁判所が,一切の法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する終審裁判所であるとされていること(憲法81条)に基づいて,上告審判決ではあっても最高裁判所によるのでないものに関して,憲法問題についてだけはとくに最高裁判所の判断を受ける道を保証するために設けられているものである。特別上告は判決の確定を遮断する効力を持たず(民事訴訟法116条),判決が確定していることを前提としているので,本来の意味の上訴には属さない。しかし特別上告とその上告審の手続については,その性質に反しない限りで通常の上告に関する規定が準用され(327条2項),提起期間,提起の方式,理由書の提出等は通常の上告に準じる。なお刑事訴訟においては,上告審はすべて最高裁判所が担当するので,特別上告は必要でない。
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百科事典マイペディア 「特別上告」の意味・わかりやすい解説

特別上告【とくべつじょうこく】

民事訴訟法上,高等裁判所上告審としてなした終局判決または仮差押え仮処分に関する終局判決については最高裁判所の判断を求められないため,憲法違反を理由とする場合に限り,特に認められる最高裁判所への不服申立て(民事訴訟法327条)。
→関連項目三審制度

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「特別上告」の意味・わかりやすい解説

特別上告
とくべつじょうこく

違憲問題についての終審裁判所としての最高裁判所に対して申し立てられる民事訴訟法上の不服申立方法。違憲上告,再上告とも呼ばれる。判決に憲法解釈の誤りがある場合,または判決の基礎となった訴訟手続に憲法の違背がある場合にかぎられる。不服の対象となる判決としては,高等裁判所が上告審としてなした終局判決,あるいは仮差し押さえまたは仮処分に関して,高等裁判所が第2審もしくは第1審としてなした終局判決,または地方裁判所が第2審としてなした終局判決があげられる。通常の上告とは異なり確定遮断の効力はもたず,その意味では再審と同じく確定判決に対する非常救済手段であるが,その手続きには上告に関する民事訴訟法の規定が準用される。なお,不服が一応理由ありと思われ,かつ事実上の点につき疎明があるときは,最高裁判所または原裁判所で原判決による強制執行の停止または取り消しを命じることができる。

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