精選版 日本国語大辞典 「物質文化」の意味・読み・例文・類語
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一般に,人間の文化的行動の物的産物をいう。自然の素材に人間が働きかけて,目的に合わせて素材を改変した人工物全体の意味であるから,その内容は無限といえる。人間の生活にとってもっとも基本的な衣食住にかかわる道具や製品はもとより,宗教的建造物や芸術作品なども含む。素材の改変には特定の技術が必要であり,技術はまた労働の形態と密接に関連する。文明社会では複雑な分業体系が確立し,技術の分化もはなはだしく,物質文化の総量は未開社会とは比較にならず,物質文化という総称すらほとんど意味をなさない。したがって物質文化という用語は,文化人類学でよく用いられる。日本民俗学では民具という用語が一般的である。民具には工業製品や都市の専門職人の製作物などは含まれないというが,民具か否かの境界にはあいまいな部分がある。
執筆者:大貫 良夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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