物品管理法(読み)ブッピンカンリホウ

デジタル大辞泉 「物品管理法」の意味・読み・例文・類語

ぶっぴんかんり‐ほう〔ブツピンクワンリハフ〕【物品管理法】

国が所有する物品取得保管使用処分などの手続きについて定めた法律。昭和31年(1956)施行。現金や有価証券は物品に含まれない。

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改訂新版 世界大百科事典 「物品管理法」の意味・わかりやすい解説

物品管理法 (ぶっぴんかんりほう)

国が所有する財産動産,不動産,債権等)のうち,動産を中心とした物品(ただし,現金,法令規定により日本銀行に寄託すべき有価証券,国有財産法の下で管理される国有財産としての船舶,航空機等は除かれる)の取得,保管,供用,処分等の管理に関する基本事項を規定し,物品の適正かつ効率的な供用その他良好な管理を図ることを目的とした法律(1956公布)。国の財産の管理に関して,国有財産については日本国憲法下において1948年に国有財産法が制定されたが,物品については,物品管理法の公布まで物品会計規則(1889公布)の下に不十分な管理が行われていた。この法律の公布と同年に債権の管理についての法律(国の債権の管理等に関する法律)も制定され,財政法を基本法としつつ,会計法,〈予算決算及び会計令〉とあいまって,国の財政法体系がほぼ整備されることになった。物品は,国の行政活動の手段として所有する動産(備品等あるいは事務用品,事業用品等)であるが,その財産価値の保持というよりそのものの効用に着目した概念であり,この法律では,まず,物品を所管する各省各庁の長がその供用および処分の目的に従った分類をするものとしている(3条)。次に,その所管に属する物品の管理機関としての各省各庁の長の委任を受けて,物品の管理事務を行う機関として物品管理官が置かれ,管理事務のうち物品の出納保管に関する事務は物品管理官からさらに物品出納官に委任され,物品の供用に関する事務は物品管理官から物品供用官に委任される(7~12条)。次に,物品の効率的な供用または処分を図るため,物品管理官に物品の管理に関する計画の策定を義務づけてこれに基づく取得手続等を定めている(13~21条)。また,物品の保管については,国の施設において良好な状態でつねに供用・処分ができるように保管することが義務づけられ,物品の出納は,物品管理官の出納命令がなければすることができないとされる(22~26条)一方,物品の処分については,不用品または売払い・貸付け等の処分を目的とする物品に限られ,不用品で換価できないものは廃棄が認められる(27~29条)。なお,物品管理職員は,法令の規定に従い,かつ,善良な管理者の注意をもって物品の管理が義務づけられ(17条),故意または重大な過失によってこの義務に違反して,物品を亡失・損傷した場合,また,物品を使用する職員が同じく故意または重過失により物品を亡失・損傷した場合,国に対して損害を賠償しなければならない(31条1項,2項)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「物品管理法」の意味・わかりやすい解説

物品管理法
ぶっぴんかんりほう

昭和 31年法律 113号。国の物品の管理,すなわち物品の取得,保管,供用,処分に関する基本的事項を規定することによって,物品の適正かつ効率的な供用そのほか良好な管理をはかることを目的とする法律 (1条) 。物品管理の機関,管理の手続と方式,物品管理職員らの責任などをおもな内容とする。

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