牧歌劇(読み)ぼっかげき(英語表記)pastoral

翻訳|pastoral

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「牧歌劇」の意味・わかりやすい解説

牧歌劇
ぼっかげき
pastoral

羊飼い田園の生活を,人間と自然との調和理想としてとらえ描いた,ロマンチックな演劇。 16世紀後期,イタリアに現れた。 T.タッソの『アミンタ』 (1573) と G.B.グァリーニの『忠実な牧童』 (90) が代表作。イギリスでは 17世紀に盛んになり,J.フレッチャーの『貞淑な女羊飼い』 (1608頃) が生れたが,むしろ仮面劇への影響が大きい。シェークスピアの『お気に召すまま』『冬物語』『あらし』などにも牧歌的要素がみられる。牧歌劇はまた,オペラバレエ発展にも大きな影響を与えた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の牧歌劇の言及

【タッソ】より

…そういう環境のなかでタッソは《詩学および英雄叙事詩に関する論考》(晩年に推敲が重ねられて大著《英雄叙事詩論》となる)の執筆,叙情詩集の刊行,フェラーラ・アカデミアでの発表活動などを行い,他方でさまざまな貴婦人との恋愛を経験した。1572年,アルフォンソ2世直属の廷臣となり,翌73年には牧歌劇《アミンタ》を執筆。十数世紀の伝統を担う牧歌の形式に悲劇と喜劇の要素を混入しながら16世紀後半に形成されつつあった新しい文学ジャンル〈牧歌劇〉は,この作品によって決定的にその形態を確立し,さらにその形態は17世紀における〈オペラ〉のジャンルの開花にも多大な影響を与えた。…

※「牧歌劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android