片頭痛治療剤(読み)ヘンズツウチリョウザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「片頭痛治療剤」の解説

片頭痛治療剤

製品名
《エレトリプタン臭化水素酸塩製剤》
レルパックス(ファイザー
《エルゴタミン酒石酸塩配合製剤》
クリアミン(日医工)
《ジメトチアジンメシル酸塩製剤》
ミグリステン(塩野義製薬、共和薬品工業)
《スマトリプタン製剤》
イミグラン(グラクソ・スミスクライン)
スマトリプタン(共和薬品工業、高田製薬、東和薬品、日医工、マイラン製薬、ファイザー、富士製薬工業、富士フイルムファーマ、日本ジェネリック、シオノケミカル、辰巳化学、陽進堂、アスペンジャパン)
《ゾルミトリプタン製剤》
ゾーミッグ(沢井製薬)
ゾーミッグRM(沢井製薬)
ゾルミトリプタンOD(共和薬品工業、高田製薬、東和薬品、日医工、マイラン製薬、ファイザー、日本ジェネリック)
《ナラトリプタン塩酸塩製剤》
アマージ(グラクソ・スミスクライン)
《リザトリプタン安息香酸塩製剤》
マクサルト(エーザイ、杏林製薬)
マクサルトRPD(エーザイ、杏林製薬)
リザトリプタン安息香酸塩(共和薬品工業、東和薬品、マイラン製薬、ファイザー辰巳化学)
《ロメリジン塩酸塩製剤》
ミグシス(ファイザー)

 片頭痛の治療薬です。ジメトチアジンメシル酸塩製剤は、中枢神経にはたらいてセロトニンの作用を阻害し、頭痛をやわらげます。緊張性頭痛にも用いられます。ロメリジン塩酸塩製剤は、脳血管に対して収縮抑制作用をもつカルシウム拮抗剤です。エルゴタミン酒石酸塩配合製剤も、脳血管に対して収縮抑制作用があり、血管性頭痛、緊張性頭痛にも用います。


 リザトリプタン安息香酸塩製剤エレトリプタン臭化水素酸塩製剤スマトリプタン製剤ゾルミトリプタン製剤ナラトリプタン塩酸塩製剤には、脳血管の収縮作用・抗炎症作用や鎮痛作用があり、ほかの薬のように頭痛の前兆が現れたときに予防的に服用するのではなく、頭痛発作がおこってから用います。これらの薬剤は、十分な診察で頭痛の原因を確認してから用いられます。


 イミグラン(点鼻液)は、速効性があり、吐き気嘔吐おうとを伴う片頭痛に適しています。追加使用する場合や、点鼻剤を使用後に注射剤あるいは錠剤を使用する場合には、2時間以上あける必要があります。ゾーミッグRMは、口腔内ですみやかに溶ける薬です(口腔内速溶錠)。マクサルトRPDは口腔内崩壊錠で、水なしで服用できて迅速な効果を発揮する薬です。


 ただし、ロメリジン塩酸塩製剤やジメトチアジンメシル酸塩製剤以外の薬については、家族性片麻痺へんまひ性片頭痛、孤発性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛、眼筋麻痺性片頭痛の人には使用できません。


①過敏症状(発疹ほっしん、かゆみなどのアレルギー症状)をおこすことがあります。過敏症状がおこったら使用を中止し、すぐ医師に相談してください。


②薬によって差がありますが、吐き気・嘔吐おうと、ねむけ、めまい不眠手足のしびれ、動悸どうき、呼吸困難、肝機能障害、倦怠感けんたいかん、口の渇き、鼻炎、鼻出血、低血圧、眼障害などの症状がおこることがあります。このような症状がおこったときは、医師に相談してください。


 リザトリプタン安息香酸塩製剤スマトリプタン製剤エレトリプタン臭化水素酸塩製剤ゾルミトリプタン製剤では、まれにアナフィラキシーショックアナフィラキシー不整脈、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患、頻脈下痢腹痛てんかん様発作などが現れることがあります。ロメリジン塩酸塩製剤では、抑うつが、エルゴタミン酒石酸塩配合製剤では、中毒性表皮壊死えし融解症、皮膚粘膜眼症候群、高度の血管収縮、動脈内膜炎、壊疽えそチアノーゼなどの麦角中毒症状、胸膜・後腹膜・心臓弁の線維症、エルゴタミン誘発性の頭痛、肝機能障害・黄疸おうだんが、またゾルミトリプタン製剤では、多尿・頻尿などが、リザトリプタン安息香酸塩製剤では、中毒性表皮壊死融解症、呼吸困難、失神、血管浮腫、口の渇き、感覚減退が、スマトリプタン製剤では、ジストニアが、エレトリプタン臭化水素酸塩製剤では、異常感覚などがおこることがあります。このような症状が現れたら使用を止め、すぐ医師に相談してください。


 長期間服用していると重い副作用がおこることがあるので、医師から指示された検査は必ず受けるようにしましょう。


③胸痛、胸部の圧迫感などがおこることがあります。このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に相談してください。


①錠剤や点鼻剤です。1日の服用回数、服用時間、1回の服用量などは、必ず医師の指示に従ってください。かってに増量すると危険です。


末梢まっしょう血管障害、閉塞へいそく性血管障害、狭心症、冠動脈硬化症、コントロールされていない高血圧症、敗血症、緑内障などの病気や肝機能障害・じん機能障害・心臓障害がある人、てんかんやけいれんをおこしやすい器質的脳疾患、心臓副伝導路と関連した不整脈などのある人、これまでに心筋梗塞・脳血管障害などをおこしたことのある人、以前にこの薬で過敏症状をおこしたことのある人、うつ状態またはうつ状態をおこしたことのある人、両親やきょうだいにアレルギーの病気があったり、食物や薬にアレルギーがあるときは、医師に報告してください。これらの薬を使用できないことがあります。


③妊婦または現在妊娠している可能性のある人、母乳で授乳している人は、あらかじめ医師に報告してください。


④この薬を使用中は禁酒を守ってください。


⑤めまい、ねむけがおこることがあるので、自動車運転や危険を伴う作業は避けてください。


⑥ほかの薬を使う必要があるときは必ず医師に相談してください。とくに、プロプラノロール塩酸塩製剤、、マクロライド系抗生物質催眠鎮静剤降圧剤抗ウイルス剤と併用すると、この薬の副作用が強く出ることがあります。


 また、スマトリプタン製剤エレトリプタン臭化水素酸塩製剤ゾルミトリプタン製剤ナラトリプタン塩酸塩製剤リザトリプタン安息香酸塩製剤は、エルゴタミンやエルゴタミン誘導体を含む薬、ほかのトリプタン系の片頭痛治療剤、モノアミノ酸化酵素阻害剤などと併用することはできません。エルゴタミン酒石酸塩配合製剤は、HIVプロテアーゼ阻害剤マクロライド系抗生物質抗真菌薬、麦角アルカロイド製剤などと併用できません。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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