片・枚(読み)びら

精選版 日本国語大辞典 「片・枚」の意味・読み・例文・類語

びら【片・枚】

〘名〙
① 宣伝のための文章や絵などを書いて掲示したり、配布したりする紙片。本来、演劇演芸の宣伝のために、湯屋や飲食店など人目の多いところに張り出したものをいった。びら紙。
※滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)上「牌(ビラ)は風に翻て見物を招けば、人は壺屋の暖簾に似て涌くが如し」
② 江戸時代、演劇関係の名びろめなどの引出物進物目録を客へ送るために書いた紙片をいう。〔随筆・皇都午睡(1850)〕
③ 江戸の劇場で、観客席の配置図の呼称。〔戯場訓蒙図彙(1803)〕
[補注]大正時代、社会運動の中で英語の bill と混淆し、外来語意識をもって用いられた。以来今日でも、和語・外来語の別の判然としない場合が多い。

ひら【片・枚】

[1] (「ひら(平)」と同語源) 薄くて平らな形状を持つものをいう。紙、葉など。現代では「花びら」などと熟合して使われるほか、独立して用いられることは少ない
源氏(1001‐14頃)梅枝「白き赤きなど掲焉(けちえん)なるひらは、筆取りなほし用意し給へるさまさへ」
[2] 〘接尾〙 薄くて幅広く、平らな物を数えるのに用いる。
書紀(720)斉明四年是歳(北野本訓)「羆(しくま)の皮七十枚(ななそヒラ)を献る」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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