爪病(読み)そうびょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「爪病」の意味・わかりやすい解説

爪病
そうびょう

爪(つめ)の病気の総称で、先天性と後天性のものがあり、また全身疾患の一症状としておこることもある。先天性疾患では無爪症、小爪症などの形態異常のほか、表皮発育異常症、表皮水疱(すいほう)症、爪甲肥厚症がある。爪の色調の変化で多いものは爪甲白斑(はくはん)で、爪甲に点状、線状に白斑を生ずるが、多くは一過性で無害である。また色素性母斑や悪性黒色腫(しゅ)による黒褐色斑、重金属や薬剤の沈着による灰黒色斑がある。爪甲の横溝は熱性疾患、中毒性疾患、代謝異常症によって生じる。爪甲が爪床からはがれる爪甲剥離(はくり)症や爪甲がスプーン状に陥凹する匙(さじ)形爪は、悪性貧血、低タンパク血症、指先の循環障害のほか、洗剤、薬品、マニキュアなどの刺激によってもおこる。時計皿爪は慢性心肺疾患、肥大性皮膚骨膜症、内分泌疾患でみられる。局所的な因子による変化は、外傷や靴の慢性刺激、湿疹(しっしん)、乾癬(かんせん)などの皮膚疾患に伴ってみられるが、ことに多いものは爪白癬(はくせん)で、多くは汗疱(かんぽう)状白癬と合併し、爪が混濁、変形し、もろくなる。

[野波英一郎]

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