爆弾(読み)バクダン(英語表記)bomb

翻訳|bomb

デジタル大辞泉 「爆弾」の意味・読み・例文・類語

ばく‐だん【爆弾】

爆薬を充塡じゅうてんし、投下または投擲とうてきして爆発させ、人や施設を殺傷・破壊するための兵器。
突然に周囲を大きく混乱させるもの、また重大な危険のたとえ。「爆弾をかかえる」「爆弾発言」
おでんの種にする、ゆで卵を芯にしたさつま揚げ
第二次大戦後の混乱期に出まわった、粗悪な密造焼酎しょうちゅう
トウモロコシ・米などの穀粒を加熱・加圧してはじけさせた食品。爆弾あられ。
[類語]爆裂弾手榴弾機雷地雷魚雷爆雷水雷

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精選版 日本国語大辞典 「爆弾」の意味・読み・例文・類語

ばく‐だん【爆弾】

〘名〙
① 爆薬を装填し、投下または投擲(とうてき)などして爆発させ、相手を殺傷、破壊するための兵器。航空機から落下させるものをさしていうことが多い。爆裂弾。〔五国対照兵語字書(1881)〕
② 太平洋戦争後の酒のない時に出まわった、急造の下等な密造焼酎。爆弾焼酎。
※おとしばなし堯舜(1949)〈石川淳〉「ただし酒はバクダンのカストリのといふ人命をおびやかす品をきらって」
③ 乾燥させたトウモロコシの粒を煎って破裂させた食品。煎餠状にしたものもある。ポップコーン
④ おでんのたねにする、ゆで卵を芯(しん)に入れた薩摩揚(さつまあげ)
※胸より胸に(1950‐51)〈高見順〉四「戦争中、おでんのタネにバクダンというのがあったね」

はぜ‐だま【爆弾】

〘名〙 爆弾(ばくだん)。爆裂弾。
※二十五絃(1905)〈薄田泣菫〉雷神の歌「氷雨吹き散る爆弾(ハゼダマ)に」

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改訂新版 世界大百科事典 「爆弾」の意味・わかりやすい解説

爆弾 (ばくだん)
bomb

爆薬などを容器に充塡し,投下あるいは投擲(とうてき)し,爆発させるなどして敵の施設を破壊し人員を殺傷するなどの目的で使用される兵器。かつては爆裂弾とも呼ばれた。一般には,航空機から投下して使用するもののみを指し,本項でも以下これを中心に記述する。

爆弾の種類は多様であるが,通常,次のように分類される。

(1)核爆弾 核爆弾には,原子の核分裂のエネルギーを利用した原子爆弾,水素の核融合によるエネルギーを利用した水素爆弾中性子線を放射して人間を殺傷する中性子爆弾などがある(核兵器)。

(2)通常爆弾 非核爆弾ともいい, 普通爆弾,クラスター(散布)爆弾,焼夷爆弾,特殊用途爆弾,誘導爆弾などに分類される。(a)普通爆弾 爆薬の爆発エネルギーを利用するもの。高性能爆薬の爆弾が爆発した場合,爆薬は瞬間的(約0.0002秒)に非常な高温ガスとなって膨張し,巨大な衝撃・圧力を発生する。ガスが膨張するとその後方には負圧が生じ,周囲の建造物はこれらの正負の圧力および衝撃によって破壊される。また壊れた弾体の小破片は高速度で飛散して人畜,器物などに損害を与える。さらに爆薬の爆発によって火災が発生することも多い。普通爆弾には,前記効果のうち,爆風効果をおもに利用するものと,破片効果をおもに利用する破片爆弾とがあり,近年では両者を兼備するものも作られている。(b)クラスター爆弾 同種または異種の爆弾をまとめ1個の爆弾としたもので,航空機から投下後各爆弾が空中に散布される。一般に,分散しかつ装甲防護された地上部隊を無力化し,あるいはその進攻を阻止するには,爆弾を広範囲に散布することが必要である。また攻撃側は目標の発見・照準・爆弾投下の間,敵の防御火器の脅威にさらされており,できるだけ短時間ですますことが望ましい。このため1個の爆弾で広い面積を十分な散布密度で覆うことの可能なクラスター爆弾が開発された。たとえばベトナム戦争で使用され有名になったボール爆弾は,対人殺傷用の破片爆弾を集めたクラスター爆弾であり,空中で散布された子爆弾は着地後爆発し,ボール状の子弾を四方に飛散させるものであった。(c)焼夷爆弾 ガソリンなどの燃料を散布し,火災を起こさせることを主目的とする爆弾。近年,燃料をエーロゾル化し燃焼させるものが作られているが,この種の焼夷爆弾では燃焼に伴い空気中の酸素を奪うため広範囲の動物を窒息させる。(d)特殊用途爆弾 照明爆弾(照明弾),対潜水艦用爆弾,化学爆弾(化学兵器),生物爆弾(生物兵器)などのほか,宣伝ビラの散布などに使われるものがある。(e)誘導爆弾 投下後,誘導することで命中精度をあげたもの(精密誘導兵器)。

爆弾は通常の場合,航空機の爆弾倉内または下面に吊るされて目的地まで運搬されるため,航空機の性能に悪影響を与えないようほぼ流線形の空力的に整えられた外形と,投下後の安定のため尾部に翼をもち,その内部には爆薬のほか,爆薬を爆発させる装置(信管)と爆弾を投下する航空機の安全を守るための装置がある(図)。信管には,目標への接近を感知する近接信管や,地上に到達して一定時間が経過したのち作動する延期信管などさまざまなものがあり,攻撃目標や方法によって選択される。運搬中の事故を防ぐため,爆弾には爆発を防ぐ安全装置がつけられる。この安全装置は通常,投下後航空機と一定の距離をおいて解除されるようになっている。この装置を安全解除装置と呼び,爆弾の信管に付けられた小さなプロペラを,降下により回転させて行うものが多い。また低高度から爆撃を行うための爆弾では,パラシュートエアブレーキなど落下速度を減ずる装置がつけられる。

爆弾の起源は19世紀ロシアの化学者キバリチチN.I.Kibal’chichが暗殺用に発明したのが最初といわれ,1858年にイタリアのオルシーニFelice Orsiniは手榴弾を製造して,これをナポレオン3世に投じて有名になった。

 現代的な爆弾が最初に使用されたのはイタリア・トルコ戦争(1911-12)であり,このとき,イタリアは初期には球形の爆弾を,後には通常の砲弾に羽根をつけた爆弾を航空機から投下した。第1次大戦に入ると,爆撃機が出現し,機上搭載用大型爆弾が作られた。同大戦当時,ドイツ機は103回にわたるロンドン空襲で死傷4850人,パリ空襲32回で死傷869人の損害を与えたにすぎなかったが,第2次大戦では,イギリスおよびアメリカの戦略空軍は,ドイツに対し都市攻撃に約115万t,軍事基地および軍事工場に約87万t,合計202万tを投弾,また日本本土空襲は約16万tの投弾で死傷者が約67万人,被災人口875万人,236万戸が焼失した。朝鮮戦争でのアメリカ空軍は,機銃掃射約2億発に対し,投下爆弾20万個,ナパーム焼夷弾1500万個,ロケット弾40万発を費やし,爆弾の脅威的威力を発揮した。

第2次大戦において,爆撃機の編隊を密集させて爆弾を高高度から投下する方式が確立された。しかし航空機に対する対空砲火および戦闘機火力の著しい改善により,編隊密集投下方式はきわめて困難となった。このため,現在では低空からの精密爆撃が主となっている。とくに対地攻撃には,より小さな単位による特殊な攻撃とひんぱんな低空飛行が必要となり,これに伴い爆弾も投弾誤差を小さくし,威力を増大するため1発の大型爆弾に代わって十分な威力を有する数個の小型爆弾または散弾のように散布して目標を覆う多数の超小型爆弾を組み合わせたクラスター爆弾が重要視されるようになりつつある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「爆弾」の意味・わかりやすい解説

爆弾
ばくだん
bomb

一般には殺傷破壊用の爆発物、あるいは手榴(しゅりゅう)弾のような投擲(とうてき)爆発物をいうが、現在では主として航空機から投下する自由落下爆弾をさす。自由落下爆弾に対し、航空機から発射する誘導ミサイル、ロケットなど推進力をもつ爆弾は、スタンド・オフ兵器とよんで区別している。航空機用の爆弾として、第一次世界大戦初期には砲弾に安定用の尾翼をつけたものが使われたが、その後、流線型の弾体に十字形の四枚翼をつけたものとなり、第二次世界大戦では制動爆弾、親子爆弾など各種の型式、用途のものが使われ、最後には絶大な威力をもつ核爆弾が出現した。

 爆弾の種類には、陸上用、対艦船用、対潜用、特殊用などがあり、おのおのが核・非核、誘導・無誘導に分かれる。陸上用には対人殺傷用と堅固な構造物破壊用があって、対人用は比較的炸薬(さくやく)量が多く、弾片飛散の効果を得るために瞬発信管、または地上適当な高度で爆発させる近接信管を用い、落下傘をつける場合もある。また多数の小型爆弾を束にしたCBU(ボール爆弾等)も使われる。構造物破壊用には、貫徹力の大きい半遅動信管付きの爆弾が使われ、垂直に貫徹させるための制動尾翼付き爆弾や、滑走路破壊用の撒布(さんぷ)貫徹弾、地雷などもある。対艦船用には通常爆弾と徹甲爆弾とがあり、前者には半遅動信管をつけて軽装甲部の破壊を、後者は遅動信管付きで弾体が厚く比較的炸薬量の少ないもので、重装甲を貫徹して致命的損害を与えるのが目的である。

 対潜爆弾は水圧信管をもち、調定された深度で爆発する。また浮上している潜水艦に対して発射するロケット弾には、炸薬をまったくもたずに貫徹だけを目的とするものもある。特殊爆弾には焼夷(しょうい)弾、毒ガス弾、細菌弾、発煙弾、照明弾、時限弾などがある。焼夷弾は主として都市や物資集積場などの攻撃に使われるが、油脂焼夷弾の一種である火焔(かえん)弾(ナパーム弾)は、戦場における人員殺傷用にも使われる。空中に燃料を撒布して着火する燃料空気爆発弾(FAE)は、強大な圧力をつくって建物の破壊や広域の人員制圧に使う。誘導爆弾は、先端に誘導用センサーと操縦翼、尾端に安定フィンをもち、弾道の変更を可能にして、より高い命中精度を実現したもの。誘導方式にはテレビ、レーザー、赤外線がある。テレビ誘導は先端のテレビカメラの画像を記録してそれに向かう。レーザー誘導は、目標を爆弾投下母機かその他の機材でレーザー照射を行い、その反射波を促え続けて目標に向かう。このため命中するまで、目標をレーザー照射している必要がある。赤外線誘導は、センサーが目標と周囲の温度差を比較し、通常は温度の高いところに向かって落下する。近年では誘導装置の精度が高まって、きわめて高い命中率を記録するようになり、精密誘導爆弾ともよばれている。

 爆弾の大きさは用途によって数キログラムから数トンに及ぶ。通常の陸用、対艦船用には225キログラム、340キログラム、450キログラム、910キログラムの4種が使われ、CBU、ナパーム弾等にも大きさの異なるものがある。誘導爆弾は通常爆弾や徹甲弾に誘導装置を付加するのが普通で、これも各種がある。炸薬には一般にTNTを使い、破片弾で全重量の60%、徹甲弾で20%程度になる。核爆弾はプルトニウムなど核物質の分裂により、TNT火薬に換算して数キロトンから数百キロトンまでの爆発力をもつ。さらに核分裂弾の発する高温を引き金とし、熱核融合をする水素爆弾では、爆発力は数十メガトンにも達する。

 爆発力の大きい核爆弾は、戦略攻撃用に使用して威力があるが、戦術攻撃用としては破壊・被害の範囲が大きすぎて、実用しがたいという問題があり、その爆発力の制限と爆弾の小型化が図られている。非核爆弾と同様に使えて、一発で破壊・制圧の効果を得ることが目的である。

[青木謙知]


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百科事典マイペディア 「爆弾」の意味・わかりやすい解説

爆弾【ばくだん】

殺傷や破壊を目的とした爆発物の総称であるが,現在では航空機から投下する炸裂(さくれつ)弾を指す場合が多い。通常爆弾と核爆弾(核兵器)があり,前者には徹甲・破片爆弾などのほか,焼夷(しようい)・毒ガス・細菌・照明爆弾などの特殊爆弾があり,その後ナパーム弾ボール爆弾も出現。大きさは数キロ〜1t程度。砲弾に比し多量の爆薬などを入れ得るが,一般に命中精度がよくないので,多数投下してその欠点を補う。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「爆弾」の意味・わかりやすい解説

爆弾
ばくだん
bomb

現在は,主として軍用航空機から投下する炸裂弾の総称。 19世紀には,手榴弾や大砲の弾丸をさしたが,軍用航空機の発達によって変化し,現在では原子爆弾,水素爆弾までがそれに含まれるようになった。砲弾と比べて発射火薬ガスの圧力がないため,爆薬を最大限に入れられることがその特徴である。爆薬率は 40~60%。種類としては,破甲爆弾,徹甲爆弾,破片爆弾,特殊爆弾 (照明,信号,焼夷,毒ガス,細菌など) ,誘導爆弾 (→スマート爆弾 ) がある。これらは使用目的によって異なり,たとえば破甲爆弾は高性能爆薬の爆風によって構造物などの破壊を目的とする。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「爆弾」の解説

爆弾

システムエラーが起きたときにエラーの発生と原因を示すアラートが画面に表示される。このときに表示される爆弾の形をしたアイコンのこと。システムエラーが発生することを、「ーが出る」と呼ぶことがある。

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