爆轟(読み)ばくごう

精選版 日本国語大辞典 「爆轟」の意味・読み・例文・類語

ばく‐ごう ‥ガウ【爆轟】

〘名〙 化学反応を伴う爆発うち火炎の伝播速度が音速を超えるもの。ダイナマイト雷管で点火したときや、雷汞(らいこう)などの鋭敏な爆薬に点火したときに起こる。デトネーション

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デジタル大辞泉 「爆轟」の意味・読み・例文・類語

ばく‐ごう〔‐ガウ〕【爆×轟】

爆発的に燃焼するとき、火炎の伝播速度が音速を超える現象ダイナマイト雷管で点火したときや、雷汞らいこうなどの鋭敏な爆薬に点火したときに起こる。デトネーション。

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改訂新版 世界大百科事典 「爆轟」の意味・わかりやすい解説

爆轟 (ばくごう)
detonation

爆燃とともに爆発の一つの形態であり,火炎面の伝播速度(爆速)が音速を超えるもの。デトネーションともいう。ガス爆発を例にとって爆ごうの生成機構を以下に述べる。火炎面は初め音速よりはるかに小さな速度で伝播しながら前方へ衝撃波を送り出すが,気体は前方で断熱圧縮を受ける結果,圧力が急激に高まり流速が小さくなるため後方からの衝撃波がつぎつぎと追いついてきてさらに圧力が強められ,ガスの温度が高まって自然発火する。それから先は反応による発熱を伴った火炎が超音速(通常1500m/s以上)で伝播する爆ごう波detonation waveとなる。このように爆速は初め小さい(爆燃)が,しだいに上昇して音速を超えやがて一定となる(爆ごう),という転移を伴うのが爆発現象において一般的である。爆ごう波の前面には急激な圧力上昇を生じるため,これが通過するとともに圧力が急変する。これによって爆ごう波は大きな破壊作用を伴うこととなり,爆風と呼ばれることがある。また,爆風の通過した後,圧力が急激に下降した末に負圧部を生じ,風が逆方向に吹いて,戸外からの爆風によって窓が外部に吹き飛ばされるという現象がみられることがある。
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世界大百科事典(旧版)内の爆轟の言及

【爆発】より

…いずれの場合でも,起爆が生ずると高温の反応領域は周囲の未反応領域へ広がっていく。この伝播(でんぱ)形式は可燃性物質の種類,濃度および環境条件によって,爆燃(デフラグレーションdeflagration)と爆ごう(轟)(デトネーションdetonation)の二つに分かれる。 爆燃は本質的には可燃性混合気中の火炎伝播と同じ現象であり,圧力,密度,温度などの燃焼特性はすべて火炎面の前後で連続的で,圧力変化もほとんどなく,また火炎の移動も音速に比べてかなり低い。…

【ガス爆発】より

…水素,メタン,プロパンのような可燃性ガスやガソリン,アルコールなどの可燃性蒸気が空気と燃焼範囲(可燃範囲,爆発範囲ともいう)内の組成に混合しているとき,これに点火して生じた火炎は,そこを中心に周囲に伝播していく。火炎は2000℃前後の高温であるため,燃焼ガスは膨張し,空間が閉じていれば,そこの圧力は上昇する。本来,ガス爆発とは,このような可燃性混合気中の火炎伝播の現象を指す。しかし,空間条件は多岐にわたるので,現実には多くのガス爆発の形態があり,ふつうこれらは次の三つに分類できる。…

【火薬】より

…火薬や爆薬の燃焼には2種類がある。一つは爆ごう(轟)(デトネーションdetonation)であり,他の一つはデフラグレーションdeflagrationである。デフラグレーションは日本では爆燃と訳されることが多いが,空気中の酸素の補給なしに進行する燃焼は爆発的でなくてもデフラグレーションと呼ばれる。…

【衝撃波】より

…もっとも,実在の気体においてはこのように強い衝撃波では高温のために分子の励起,解離,電離が起こるし,放射の影響も無視できなくなる。また燃焼,爆発などの反応が起こる場合はその影響(衝撃波を伴う爆発的燃焼は爆ごう,衝撃波は爆ごう波といい,圧力の急上昇とエネルギー発生が伴って起こる),また,電離した気体に磁場がかかっているような場合は電磁流体力学的効果がきいてくる。このほか,衝撃波の内部構造を論ずるには,粘性,熱伝導の効果を,強い衝撃波では非平衡効果,とくに実在気体では上に述べた効果の緩和現象を考慮する必要がある。…

【燃焼】より

…また,これらの火炎伝播現象は幅の狭い熱パルスが空間を移動する現象とみなされるので,これを波動に見たてて燃焼波と呼ぶこともあり,このとき火炎の前面を波面にならって火炎面という。さらに火炎の伝播が著しく加速を受けると火炎面に衝撃波を伴うようになるが,この状態は爆ごう(轟)またはデトネーションと呼ばれ,前記の火炎伝播とはまったく異なった特性を示す(〈爆発〉の項参照)。 ところで,火炎の移動は未燃混合気を火炎の進行と反対方向に流すことにより止めることができる。…

※「爆轟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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