煽石(読み)せんせき(英語表記)natural coke

精選版 日本国語大辞典 「煽石」の意味・読み・例文・類語

せん‐せき【煽石】

〘名〙 地下炭層中の石炭が、火山岩の熱で乾留されてコークス化したもの。ふつうの無煙炭やコークスよりも、均質でなく灰分も多く、利用しにくい。変質度によって、はしり・おこり・ちくらなどの俗称がある。筑豊炭田天草炭田などに産出した。
東京日日新聞‐明治六年(1873)一二月一五日「山本文治と云人、煽石にて石灰焼方の商社都下に開かんとす」

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デジタル大辞泉 「煽石」の意味・読み・例文・類語

せん‐せき【×煽石】

地下の炭層が火山岩の熱変成作用を受けて生じた無煙炭、または天然コークス

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改訂新版 世界大百科事典 「煽石」の意味・わかりやすい解説

煽石 (せんせき)
natural coke

地下で形成された石炭の層(炭層)に,あとから火山活動によって溶岩接近あるいは貫入し,その熱で付近の石炭が変質したものをいう。熱が加わるが空気(酸素)の供給はないので,石炭は燃焼せずに乾留され,揮発分が抜けて無煙化し,一種のコークスのようなものになっている。熱源である溶岩(火成岩)から遠ざかるにつれて無煙化の程度が下がり,燃えると白煙を発するものもある。煽石はこのように二次的に変質したものであるが,JISのなかの石炭化度による炭質区分では,無煙炭に含め,細区分で本来の無煙炭と分けている。北九州の筑豊炭田でおもに産出したほか,九州天草炭田,山口県大嶺炭田にもある。無煙なので練炭・豆炭の原料に用いられ,1965年前後には全国の石炭生産の約1%にあたる年間50万t程度の産出があった。しかしその後,これらの炭田の炭鉱がしだいに閉山するにつれて産出が減り,70年ごろには20万tを下回り,73年からは国の生産統計で別個に扱われなくなった。
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岩石学辞典 「煽石」の解説

煽石

盲炭

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