煮凝(読み)にこらす

精選版 日本国語大辞典 「煮凝」の意味・読み・例文・類語

に‐こら・す【煮凝】

〘他サ四〙 =にこやす(煮凍)
読本春雨物語(1808)目ひとつの神「山づとの宍(しし)むら油に煮こらしたる、又出雲松江の鱸二尾、是はしたがひし輩にとらせて」

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改訂新版 世界大百科事典 「煮凝」の意味・わかりやすい解説

煮凝 (にこごり)

煮魚などの煮汁が冷えて凝固したもの,また人為的に凝固させた料理。単に〈こごり〉ともいった。魚などに含まれるゼラチン質の作用によるもので,煮汁中のゼラチン量が5%以下の場合15℃以下でないと凝固しないので,現在では一般に煮汁にゼラチンや寒天を加えてつくる。タイ,ヒラメ,カレイ,オコゼアンコウフグコイなどのほか鶏肉も材料として用いられ,市販品にはサメなどが使用される。《日本霊異記》に〈鯉を煮て寒凝(こごら)す〉とあるように,コイ,フナなどを煮て寒気で凍らせることは古くから行われ,貢納品ともなった。《四条流庖丁書》は夏のこごりこそ誇るべきものという。《料理物語》は夏にはところてんを加えるとし,ところてん,葛粉(くずこ)などによる凝固力の強化は室町時代すでに行われたようである。
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百科事典マイペディア 「煮凝」の意味・わかりやすい解説

煮凝【にこごり】

煮魚などを冷却し煮汁とともに凝固させた料理。タイ,スッポンコチ,アンコウ,サメなどゼラチン質を多く含むものを用いるが,食用ゼラチンや寒天などを補うこともあり,流し箱に入れて固め,適当に切って供する。

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