精選版 日本国語大辞典 「焼・妬」の意味・読み・例文・類語
や・ける【焼・妬】
〘自カ下一〙 や・く 〘自カ下二〙
[一] 火・光などのために物の状態が変わる。
① 火がついて燃える。燃えてなくなる。焼失する。
※源氏(1001‐14頃)橋姫「かかる程に住み給ふ宮やけにけり」
② 火にあたって熱くなる。また、加熱されてできあがる。火が通る。
※書紀(720)神代上(兼方本訓)「旱(ひて)れば則ち、焦(ヤケ)ぬ」
④ 日光にあたって熱くなる。現代俳句では、「灼」の字をあてることが多い。《季・夏》
※有明集(1908)〈蒲原有明〉沙は燬けぬ「沙は燬(ヤ)けぬ、蹠のやや痛きかな」
⑤ 日光や光にあたって変色する。
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初「日にやけて皆なくろん坊さ」
⑥ 酸化して色や質がかわる。
⑦ 強い摩擦で熱くなる。
⑧ 日の光が空に映って赤く燃えているように見える。
⑨ 噴火する。
※折たく柴の記(1716頃)上「此日富士山に火出て焼ぬるによれり」
① 思い乱れる。感情がたかぶる。思いの火が燃える。こがれる。
② あれこれと心づかいがされる。世話がかかる。
③ (妬) ねたましく思われる。
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「イヨー妬(ヤケ)ます」
④ 胸のあたりがつまるように感じられる。
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