無防備都市(国際法)(読み)むぼうびとし(英語表記)undefended cities

日本大百科全書(ニッポニカ) 「無防備都市(国際法)」の意味・わかりやすい解説

無防備都市(国際法)
むぼうびとし
undefended cities
open cities

1907年のハーグ陸戦規則第25条は、「防守セサル都市、村落、住宅又ハ建物ハ、如何(いか)ナル手段ニ依(よ)ルモ、之(これ)ヲ攻撃又ハ砲撃スルコトヲ得ス」と定めている。占領に対して防守抵抗しない都市は、軍事目標物があっても攻撃・砲撃する必要がないからである。

 しかし、海軍力による艦砲射撃や航空機による空中爆撃においては、軍事目標物が存在し、警告しても地方官憲がそれを破壊しない場合には、砲爆撃により破壊することができる。それに対し、軍事目標物、つまり、軍隊、軍事工作物、軍事建設物、軍事貯蔵所、兵器弾薬軍需品工場、軍用交通・運輸線のない都市に対する砲爆撃は、許されない。

 1949年のジュネーブ諸条約では、これに関連し、傷病者のための病院地帯・地区、老幼者婦女子のための安全地帯・地区、傷病者文民のための中立地帯の設定と砲爆撃からの保護を規定している。

宮崎繁樹

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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