無次元数(読み)ムジゲンスウ

世界大百科事典 第2版 「無次元数」の意味・わかりやすい解説

むじげんすう【無次元数 dimensionless number】

物理的に観測される量は必ず次元をもっている。しかしこれらの量を掛けたり割ったりすると無次元の単なる数が得られることがある。これを無次元数という。最も簡単な無次元数は長方形の縦,横の長さの比である。一般に比は無次元数である。マッハ数物体速度音速の比であるから無次元数である。単なる比ではない無次元数もある。その代表的なものはレーノルズ数である。レーノルズ数は速度U(m/s)と長さL(m)の積を動粘度ν(m2/s)で割ったものであって,確かに無次元数である。

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化学辞典 第2版 「無次元数」の解説

無次元数
ムジゲンスウ
dimensionless number

現象に関与する物理的量の相互関係を表す式においては,その式の両辺における次元が等しくならなければならないことから,これらの物理的因子を組み合わせると,次元が相殺されて,無次元の物理的意味をもつ項が得られる.これを無次元数という.次元解析によって得られる関係式は,通常,これら無次元数の積として表される.また,無次元数の形は独立変数の選び方によって種々の形をとる.現象が複雑で理論的に解けないような問題でも,その現象に関係のあるすべての物理量がわかれば,次元解析の方法を使うことによってそれら諸量の間にあるべき関数形を求めることができる.代表的な無次元数としては,流動状態の相似性を示すレイノルズ数熱伝達におけるヌッセルト数プラントル数物質移動におけるシュミット数シャーウッド数などがあげられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典内の無次元数の言及

【次元解析】より

…複雑な現象に関し,関係する諸量の間に成り立つ物理法則を見いだそうとする場合に用いられる手法。次元解析は〈物理法則は必ず無次元数の間の関係として表される〉という定理にもとづいている。無次元数とは,物理量を組み合わせてつくった次元のない数である。…

※「無次元数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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