無常といふ事(読み)ムジョウトイウコト

デジタル大辞泉 「無常といふ事」の意味・読み・例文・類語

むじょうということ〔ムジヤウといふこと〕【無常といふ事】

小林秀雄評論日本古典文学にまつわる随筆で、初出は昭和17年(1942)。昭和21年(1946)刊行

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「無常といふ事」の意味・わかりやすい解説

無常といふ事 (むじょうということ)

小林秀雄の評論集。1946年創元社刊。〈当麻(たいま)〉〈無常といふ事〉〈徒然草〉〈平家物語〉〈西行〉〈実朝〉の6編を収める。いずれも日本中世文学についての評論で,太平洋戦争下の1942年から43年にかけて発表されたものであるが,戦争との直接のかかわりはない。象徴主義的な手法を駆使して鮮明で堅固なイメージを根底に据えながら,人間の生死と自然とのかかわりや歌人たちの生き方を論じ,個人の存在と歴史・伝統との深いつながりを暗示しているところに特色がある。言葉・精神・肉体という小林主題が,古典を対象として美しく表現された評論集であり,小林の代表作の一つに数えられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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