無何有(読み)むかう

精選版 日本国語大辞典 「無何有」の意味・読み・例文・類語

む‐かう【無何有】

〘名〙 (「荘子‐逍遙遊」から出た語。「何有」は何か有らんで、何もあることがないの意) 何もないこと。自然のままで何も作為がないこと。また、そのような状態境地。無何。むかゆう。
葬列(1906)〈石川啄木〉「我を忘れて魂無何有(ムカウ)の境に逍遙ふ」
[補注]古くは呉音読みで「むがう」と言ったか。

む‐かゆう ‥カイウ【無何有】

雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上「恍惚無何有(ムカイウ)の郷に遊んで、其身の不愉快なる天地に在るを忘る」

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デジタル大辞泉 「無何有」の意味・読み・例文・類語

む‐かう【無何有】

《「何有」は「何か有らむ」と読み、何物もない意。「むがう」とも》自然のままで何の作為もないこと。また、そのような状態。むかゆう。
「唯昔の苦行者のように―の砂漠を家としている」〈芥川侏儒言葉

む‐かゆう〔‐カイウ〕【無何有】

むかう(無何有)」に同じ。

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