無二無三(読み)むにむさん

精選版 日本国語大辞典 「無二無三」の意味・読み・例文・類語

むに‐むさん【無二無三】

〘名〙 (「むにむざん」とも。「むにやくむさん(無二亦無三)」の略)
仏語法華経に説く教えで、成仏の道はただ一つ一乗にあるのみで二乗三乗にはないということ。無二亦無三
法華義疏(7C前)一「法華正言無二無三。会同帰一。此経直明万善成仏。不無二無三
② (形動) 転じて、ただ一つで、他には類のないこと。また、そのさま。無二亦無三。唯一無二唯一
※却癈忘記(1235)上「法師にて、又無量の大所得多かれども、せめての事には、在家にて、無二無三の信者にてあらむは、いまひときはの事におほゆ」
源平盛衰記(14C前)二四「東大寺と申は、一閻浮提、無二無三の梵閣
③ (形動) 脇目もふらず、一途になること。ひたむきになるさま。無二亦無三。一散。一心不乱
※コンテムツスムンヂ(捨世録)(1596)一「デウスヲ muni(ムニ) musanni(ムサンニ) ゴタイセツニ ヲモイ タテマツル ヒトワ」

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デジタル大辞泉 「無二無三」の意味・読み・例文・類語

むに‐むさん【無二無三】

[名・形動]《「むにむざん」とも》
わき目をふらずいちずになること。また、そのさま。ひたすら。「ゴールを目ざし、無二無三に走る」
仏語。法華経に説く、仏となる道はただ一つ一乗であり、二乗、三乗にはないということ。無二亦無三むにやくむさん
ただ一つしかないこと。二つとないこと。唯一。
「東大寺と申すは、一閻浮提いちえんぶだい―の梵閣」〈盛衰記・二四〉
[類語]ひたすらいちずひたむき一筋ただただただ専一ひとえに一心一念一路一散一目散一直線一本槍一点張り一辺倒一意専心営営せっせ遮二無二がむしゃら一心不乱脇目も振らず直線的まっしぐら直情径行まっすぐ猪突猛進ストレートまっしぐらしゃかりきしゃにむに無心粉骨砕身無我夢中熱中夢中専心専念没入没頭没我傾注傾倒我を忘れるこんを詰める身を入れる身を砕く心血を注ぐ

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四字熟語を知る辞典 「無二無三」の解説

無二無三

わき目もふらず、一途になること。ひたむきになること。一心不乱。

[活用] ―に。

[使用例] そうしてもう一度無二無三に、妻の体を梁の下から引きずり出そうと致しました[芥川龍之介疑惑|1919]

[使用例] 石神井池畔のボロ宿に部屋を取って、無二無三に書きまくった[檀一雄火宅の人|1975]

[解説] 「むにむざん」とも読みます。仏教語で「やくさん」の略。法華経に説く教えで、成仏の道はただ一つ一乗にあるのみで二乗や三乗にはないということ。

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