普及版 字通 「無(漢字)」の読み・字形・画数・意味
無
常用漢字 12画
[字訓] まう・ない・なし
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 仮借
もと象形。人の舞う形で、(舞)の初文。卜文に無を舞(ぶう)(雨乞いの祭)の字に用い、ときに雨に従う形に作る。有無の無の意に用いるのは仮借。のちもっぱらその仮借義に用いる。〔説文〕六上に「豐かなり」と訓し、字を林に従う字とする。〔説文〕が林とするその部分は、舞袖の飾りとして加えたもので、金文にみえるその字形を、誤り伝えたものである。また、「豐かなり」の訓も、〔爾雅、釈詁〕「(ぶ)は豐かなり」とみえる字の訓である。〔説文〕にまた「或いは(い)ふ、規の字なり。大册に從ふは、數の積なり。林なるは、木の多きなり。册と庶と同なり」とし、「書に曰く、庶無す」と、〔書、洪範〕の文を引く。今本に「廡(ばんぶ)」に作る。〔説文〕は字を林に従うものとして林部に属し、そこから繁の意を求めるが、林は袖の飾り、字は人が両袖をひろげて舞う形。のち両足を開く形である舛(せん)を加えて、となる。いま舞にはを用い、無は有無の意に専用して区別する。
[訓義]
1. まう、まい。の初文。
2. ない、なし、あらず、なかれ、いな。
3. むなしい、虚無。
4. と通じ、しげる、ゆたか。
5. 字はまた无に作る。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕無 ナシ・ナイガシロ・ナスミ(ミス)・セズ・ナクモガ・シヌ・ムシロ・ケタモノ・イナヤ・アヒダ
[声系]
〔説文〕に無声として・・・廡・撫・など十五字を収める。・・廡(ぶ)には大の義があり、無声にもと豊大の義があったことが知られる。
[語系]
無・・巫miuaは同声。無はの初文。は巫舞で、もと舞を意味した。有無の無は(亡)・罔miuang、靡miai、蔑miat、末muat、未・勿miut、makなどと同系の語で、仮借の義である。無・miuaは同声。(茂)・楙mu、またmiuan、phiong、piongも声近く、これら靡(びぶ)の義もまた一系をなしている。
[熟語]
無射▶・無事▶・無難▶・無頼▶・無衣▶・無位▶・無畏▶・無異▶・無意▶・無為▶・無謂▶・無一▶・無因▶・無韻▶・無益▶・無厭▶・無援▶・無価▶・無過▶・無裹▶・無我▶・無界▶・無害▶・無涯▶・無碍▶・無礙▶・無学▶・無官▶・無間▶・無患▶・無幾▶・無軌▶・無期▶・無愧▶・無機▶・無窮▶・無▶・無疆▶・無極▶・無圻▶・無垢▶・無虞▶・無稽▶・無形▶・無慧▶・無芸▶・無▶・無検▶・無愆▶・無限▶・無弦▶・無言▶・無辜▶・無功▶・無行▶・無効▶・無告▶・無骨▶・無痕▶・無才▶・無際▶・無罪▶・無▶・無策▶・無算▶・無産▶・無慙▶・無私▶・無疵▶・無視▶・無▶・無次▶・無弐▶・無識▶・無日▶・無実▶・無邪▶・無主▶・無術▶・無処▶・無所▶・無象▶・無上▶・無情▶・無状▶・無色▶・無職▶・無心▶・無尽▶・無人▶・無数▶・無声▶・無成▶・無制▶・無征▶・無勢▶・無税▶・無迹▶・無籍▶・無節▶・無前▶・無双▶・無他▶・無多▶・無体▶・無対▶・無題▶・無端▶・無断▶・無地▶・無知▶・無恥▶・無智▶・無儔▶・無朕▶・無敵▶・無腆▶・無度▶・無当▶・無党▶・無道▶・無徳▶・無奈▶・無▶・無二▶・無任▶・無寧▶・無年▶・無能▶・無頗▶・無敗▶・無輩▶・無畔▶・無比▶・無匹▶・無憑▶・無病▶・無風▶・無物▶・無文▶・無辺▶・無偏▶・無朋▶・無縫▶・無方▶・無法▶・無謀▶・無味▶・無無▶・無名▶・無悶▶・無尤▶・無有▶・無郵▶・無憂▶・無余▶・無用▶・無庸▶・無恙▶・無欲▶・無理▶・無律▶・無慮▶・無両▶・無良▶・無量▶・無▶・無聊▶・無倫▶・無類▶・無霊▶・無禄▶・無論▶
[下接語]
有無・皆無・虚無・空無・真無・寂無・絶無・南無・慮無
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報