精選版 日本国語大辞典 「烏丸光広」の意味・読み・例文・類語
からすまる‐みつひろ【烏丸光広】
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江戸初期の公卿,歌人。准大臣光宣の子。和歌を細川幽斎に師事し,歌論書として著名な《耳底記(にていき)》は若年の光広の歌道精進の次第をもよく現している。1609年(慶長14)参議・左大弁のとき猪熊(いのくま)事件を起こし勅勘を被り,11年勅免・還任されるまで不遇をかこったが,12年に権中納言,16年(元和2)には権大納言に昇った。早くから幕府の恩顧を深く受け,ことに中年以降はことあるごとに江戸に下向し,晩年の37年(寛永14)には将軍徳川家光より江戸在府のための邸まで拝受した。師の一糸文守から,権勢を頼り遠く皇畿を離れるは〈非是人臣之善〉との非難を受けたほどであり,宮廷人としては典型的な俗物ともいえようが,その自由闊達な人となりが,朝幕間や文化面で果たした役割は高く評価されよう。多才多能で,能書家でもあった。著述が多く,歌集《黄葉和歌集》,紀行文《日光山紀行》《あづまの道の記》《春の曙》,仮名草子《目覚草(めざましぐさ)》などがある。
執筆者:橋本 政宣
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(伊東正子)
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…江戸初期,宮廷で起きた猪熊教利らの密通事件。1607年(慶長12)2月,左少弁猪熊教利が官女との密通により勅勘を受けて出奔し,ついで09年7月には参議烏丸光広以下大炊御門頼国,花山院忠長,飛鳥井雅賢,難波宗勝,徳大寺宗久,松木宗信らの若公家衆が前年来典侍広橋氏など5人と遊興にふけり,密通していたことが発覚した。後陽成天皇は激怒し,彼らを極刑に処すべく,その意向を幕府に伝えた。…
…寛永,明暦,寛文期の異版もある。慶長11年5月旗本松平近正の次男近次(ちかつぐ)が好色無頼の罪で改易され,蟄死(ちつし)した事件や,同14年の烏丸光広ら公家と宮女との密通事件などをモデルにしたとされる。御伽草子的な悲恋物語であるが,関白豊臣秀次の悲劇,お国歌舞伎,三味線,隆達(りゆうたつ)小歌など当時の事件・風俗が織りこまれている。…
…すなわち弟子を使って工房制作を行い,俵屋絵として売り出したのである。出自を生かして千少庵,烏丸光広,本阿弥光悦など当時一流の文化人,公卿と親交を結んだことが,その画風形成上にすぐれた影響をもたらした。特に光悦との協力関係は重要で,光悦が版行した嵯峨本において,木版雲母摺(きらずり)下絵の意匠を担当したのは宗達であった。…
※「烏丸光広」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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