炭焼小五郎(読み)すみやき・こごろう

朝日日本歴史人物事典 「炭焼小五郎」の解説

炭焼小五郎

大分県大野郡・海部郡一帯に伝わる長者伝説主人公豊後炭焼きに従事する小五郎と黒あざのある姫とが結ばれ,小五郎は金山の所有者となり,姫は黒あざがとれ長者夫婦となった。ふたりの間の子である般若姫も都の尊い方の女房になるという致富譚のひとつ。炭焼き長者の類話は全国的にあり,沖縄から青森にわたっている。炭焼小五郎には,金売り吉次がかかわっていることが特徴である。財宝である黄金発見がひとつの暗示となっている。特に砂金をとかす際には,大量の炭が必要であったので,黄金を売る商人や鋳掛屋,鍛冶屋などが,炭焼き長者を生みだす背景にあると推察される。小五郎は,女の持っている黄金により福分を獲得したのであり,この話は多分,金売り商人が諸国に伝播させたのであろう。

(宮田登)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「炭焼小五郎」の解説

炭焼小五郎 すみやき-こごろう

長者伝説の主人公。
まずしい炭焼きが京都からきた姫との結婚によって黄金を発見し長者になる。大分県大野郡,海部(あまべ)郡がこの伝説の中心地であるが,類話は「炭焼き長者伝説」として全国に分布する。名を藤太と称することもある。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の炭焼小五郎の言及

【三重[町]】より

…近年,芦刈地区に工業団地が造成され,電子部品やコンクリートなどの工場が進出している。蓮城寺(内山寺,内山観音とも呼ぶ)は炭焼小五郎伝説にまつわる寺として知られている。伝説によれば,欽明天皇のとき,百済(くだら)から僧蓮城を招来し,真名野(まなの)長者となった炭焼小五郎が建立したという。…

※「炭焼小五郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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