炭団(読み)たどん

精選版 日本国語大辞典 「炭団」の意味・読み・例文・類語

た‐どん【炭団】

〘名〙
木炭粉や石炭粉を布海苔(ふのり)角叉(つのまた)などで球状に固め、乾燥させた黒い燃料火気が柔らかい。火鉢こたつ、あんかなどの灰に埋めて使用する。たんどん。炭団法師。炭団玉。《季・冬》
言継卿記‐弘治三年(1557)二月一七日「并香炉灰之焼様、同たどんの焼様等尋之、注置之、腫物入薬遣之」
※評判記・吉原讚嘲記時之大鞁(1667か)せきしゅ「此人をたどんといふは、いろの黒きゆへかといふ」
② (その色と形が①に似ているところから) すもうの星取表で負けの印。転じて、負けること。
青鬼の褌を洗ふ女(1947)〈坂口安吾〉「けれどもダメ、つまり見事にタドンであった」

たん‐どん【炭団】

〘名〙 =たどん(炭団)
四河入海(17C前)四「六月に炭団(タントン)をつくると云て、炭をくだいて粉にして」

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デジタル大辞泉 「炭団」の意味・読み・例文・類語

た‐どん【炭団】

粉炭こなずみふのりを加えて練り、丸くして乾燥した燃料。 冬》「炭取にいつから残る―かな/乙字
俗に、相撲星取り表で負けの印。黒星
[類語]木炭消し炭練炭豆炭

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改訂新版 世界大百科事典 「炭団」の意味・わかりやすい解説

炭団 (たどん)

木炭の粉末デンプンフノリツノマタなどで球形に固め乾燥した加工炭燃料。たどんの起りは不明だが,中国では3世紀頃の史書に加工炭の記述がある。日本にも平安時代に動物(獣)形に固めた獣炭が使われたと史書にある。また鎌倉時代に禅文化が,木炭の新用途であるこたつ,たどん,あんかを伝えたようで,そのころよりたどんは庶民の燃料として使用され,いろいろのことわざや俳句などにも出てくる。たとえば〈たどんに目鼻〉というのは不美人で色黒で,目鼻だちがはっきりしない顔のたとえである。たどんは火つきがよく,臭気がなく,火力が柔らかで爆跳がなく,そのうえ火もちがよいという性質をもつ。一定温度を長時間保つための火鉢,こたつ,あんかなどでは灰に埋めて使用し,長時間のとろ火の煮物には木炭と併用するとよい。現在も,のこくず,樹皮炭を原料に機械化生産されている。
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百科事典マイペディア 「炭団」の意味・わかりやすい解説

炭団【たどん】

木炭粉末に,フノリ糖蜜,壁土用糊料のツノマタなどを混ぜて,球形に固めて乾燥した固体燃料。火鉢,こたつ,あんかなどに用いる。円筒形にしたものは棒炭という。
→関連項目練炭

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「炭団」の意味・わかりやすい解説

炭団
たどん

木炭の粉末を主原料とする固形燃料の一つ。木炭粉にのこ屑炭,コークス,無煙炭などの粉末を混合し,布海苔,角叉,デンプンなどを粘結剤として球形に固めて乾燥させてつくる。一定温度を一定時間保つことができるのが特徴で,火鉢,こたつの燃料として愛用され,またとろ火で長時間煮炊きするのに重用された。

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